The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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病院歯科・病診連携シンポジウム

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総合病院における歯科の役割

座長:田中 彰(日本歯科大学新潟生命歯学部 口腔外科学講座)、寺中 智(足利赤十字病院 リハビリテーション科)

[SY9-1] 足利赤十字病院における医科/歯科連携について

○小松本 悟1 (1. 足利赤十字病院 院長)

【専門分野】
神経内科、病院経営学

【略歴】
1975年:
慶應義塾大学医学部卒業
1979年:
慶應義塾大学大学院卒業 医学博士取得
1984年:
米国ペンシルバニア大学脳血管研究所留学
1986年:
慶應義塾大学神経内科医長就任
1994年足利赤十字病院 副院長
2008年:
足利赤十字病院 院長
2010年:
慶應義塾大学医学部客員教授
2013年:
獨協医科大学臨床教授
2017年:
日本病院会副会長

【所属学会、資格、役職など】
日本内科学会認定内科医・指導医
日本脳卒中学会専門医
日本医師会認定産業医
日本神経学会認定医・専門医・指導医
日本人間ドック学会認定医
日本頭痛学会専門医・指導医

(はじめに)

 足利赤十字病院は栃木県南部に位置し、三次救命救急センターを有した医療圏(80万人)の唯一の地域中核病院である。病床数は555床、全室個室化した次世代型グリーンホスピタルである。

 2010年10月より入院患者の口腔管理や摂食嚥下リハに関わる目的にて、リハ科と歯科チームによる口腔管理ならびに摂食嚥下リハが行われている。

(結果)

脳卒中急性期患者の誤嚥性肺炎発症率の年度別推移について、介入前2011年度の誤嚥性肺炎の発症率は、12.2%であったが、2012年度 9.4%、その後の発症率は徐々に減少し、2018年度は3.9%、2019年度は3.3%となった。この結果は、先行研究と比較しても明らかに低い傾向にある。また、在院日数を短縮することが出来、誤嚥性肺炎を抑えることによりベッドの効率的利用が可能となった。歯科チームはリハ患者以外にもがん周術期患者や緩和ケア患者にも関わっている。以上の結果、歯科チームによる医科/歯科連携は、感染症予防、ADL、QOL改善に寄与している可能性があり、医療経営面からみても有益であった。 

(まとめ)

地域包括ケアシステムが提唱され、医科歯科連携の重要性が問われている。そのためには、歯科と医科の間で、情報共有する機会が増えることが望まれる。地域包括ケアシステムの中で、病院における医科と歯科の更なる連携強化が期待される。また退院後も地域の医科と歯科とのシームレスな連携が望まれる。

病院経営管理の基本は、患者中心の医療の提供であり、患者満足度や目に見えない付加価値の増大が第一義である。その一環として、当院では医科歯科連携を推進している。口腔衛生管理による感染症対策(誤嚥性肺炎予防)やがん化学療法における口腔粘膜異常の改善、摂食嚥下リハビリテーションを通してADL、QOLの向上を生み出すことである。医科歯科連携を含めた患者満足度や目に見えない付加価値の増大が良質な医療の提供に繫がり、病院経営管理の改善を生み出すこととなる。そして、本シンポジウムでは病院歯科の必要性について、その齎す効果と医療経済的な視点にも言及したい。