一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会

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病院歯科・病診連携シンポジウム

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総合病院における歯科の役割

座長:田中 彰(日本歯科大学新潟生命歯学部 口腔外科学講座)、寺中 智(足利赤十字病院 リハビリテーション科)

[SY9-4] 横浜市鶴見区歯科医師会会長として医科歯科連携構築に向けた挑戦

○佐藤 信二1 (1. 医療法人BEACHPARK 佐藤歯科医院)

【略歴】
1999年:
鶴見大学歯学部卒業
2000年:
鶴見大学歯学部保存修復学講座入局
2002年:
佐藤歯科医院勤務
2011年:
民生委員・児童委員
2014年:
鶴見大学地域保健学教室非常勤講師
2015年:
鶴見区歯科医師会 学校歯科委員会 理事
一般社団法人横浜市歯科医師会 学校歯科保健委員会 常務理事
2017年:
医療法人BEACHPARK 佐藤歯科医院 理事長
鶴見区歯科医師会 会長
一般社団法人鶴見医師歯科医師会 副理事長
一般社団法人横浜市歯科医師会 学校歯科保健委員会 常務理事
2019年:
鶴見区歯科医師会 会長
一般社団法人横浜市歯科医師会 総合企画委員会 常務理事
現在に至る

口腔の全身への影響が認識され始める中、日本国の方向性を定める2018年の骨太の方針においては、「地域における医科歯科連携の構築」の推進が盛り込まれ、2019年の素案では「医科歯科連携領域のエビデンスの蓄積、国民への適切な情報提供、フレイル対策における歯科医師・歯科衛生士の役割、多職種連携の構築」などが盛り込まれたのは周知の通りである。

私が鶴見区歯科医師会(以下、鶴歯)の理事であった2007年、地元に済生会横浜市東部病院(以下、東部病院)が完成された。この時は、医科と歯科による周術期連携等について、徐々に注目されてきた頃である。私が鶴歯の会長になった2017年より東部病院と更なる連携を本格的に開始した。

会長就任後、最初に東部病院の患者支援センター長と面談し、病院内での周術期口腔機能管理における現状把握と鶴歯との連携強化を行った。また年2回、東部病院と地域医療との連携について合同委員会を開催し、入院日数の変化、合併症発症数をはじめとした周術期口腔機能管理に関するデータを共有している。本シンポジウムでは、東部病院との医科歯科連携に至るまでの過程と今後の展望をお話したい。

また、昨年3月より横浜市鶴見区ではICTを活用した「サルビアねっと」を開始した。これは、日本で初めての都市型ICT連携であり、三師会や東部病院を始めとした地域の中核病院などから代表者が参加し、1年半ほど会議を重ね、時間をかけて開発された地域医療連携ネットワーク推進事業である。
例えば有病者の抜歯が必要と判断した際に、「サルビアねっと」の患者データを見てみると、糖尿病のためどこの病院にかかっているか、どのような薬を服用しているかなどが把握でき、抜歯前後における医科対診の必要性に変化が出てくる。特に訪問診療では、タブレットを持って行けば、その場で患者の情報を確認することもできる。現在登録している患者は、7800名程度だが、これから誰もが活用できるように、さらに推進役として歯科医師会は対応していく必要がある。電子カルテのような医療情報リソースを地域の医療・介護従事者間で共有する仕組みとして、鶴見区を中心とした医療機関・介護施設等が参加する「サルビアねっと」の運用を含めた医科歯科連携の構築について述べたい。