[認定P-16] 長期歯科未受診高齢者において義歯製作により咀嚼機能の向上が得られた一症例
【緒言】口腔機能の維持や改善は、食事の面で適正な栄養摂取が可能となり免疫力や身体の活動性を向上させる。また、会話の面では高齢者の社会性の低下防止にもつながると考えられている。口腔機能低下を適切に診断し、口腔機能管理と動機付けを行うことは歯科にとって重要なことである。今回、咀嚼機能低下の自覚のない高齢患者に対し、義歯の製作を行い咀嚼機能の向上を得られた症例を経験したので報告する。
【症例】70歳女性。当院循環器内科より周術期口腔管理依頼で当科を受診した。 既往歴は重症大動脈弁狭窄症、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症であった。アスピリン等を多剤服用していた。初診時、残根状態の歯を多数認めEichner分類はB4であった。最終歯科受診歴は約30年前であり、2回目の受診時には唯一の咬合支持域であった歯冠補綴物が自然脱落していた。患者自身は食事に関して不便を感じないとのことであった。上顎10本、下顎4本の計14本は術前に感染源になると判断し、抜歯および義歯の製作を行うこととした。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【経過】重症大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術が予定されていたため、口腔内の感染源除去を優先し抜歯を行った。抜歯処置は、2020年7月~8月の間で3回に分けて行った。義歯製作は大動脈弁置換術後の2020年10月~11月にかけて行い上顎総義歯、下顎部分床義歯を装着した。義歯装着後、患者本人からは食事に関する変化は特にないとのことであったが、摂取可能食品を調査表にて聞き取りをしたところ、摂取可能食品の改善を認め、咀嚼能力検査では義歯装着前45mg/dl、義歯装着後95mg/dlとなり咀嚼機能の向上を認めた。
【考察】咀嚼機能低下は低栄養になりやすいことが予測されるが、今回の症例は154㎝、70㎏、BMI 29.5と肥満であった。長期にわたる咀嚼機能の低下により摂取可能食品の多様性が低下し適正な栄養状態を維持できていなかった可能性が考えられる。今回の歯科介入により、咀嚼機能の向上が得られ、摂取可能食品が多様化し、食生活の改善が期待される。調査表を用いたことで、患者自身が食生活の変化を実感でき、義歯装着に関して満足を得られた。客観的な評価、検査結果を用いることで口腔機能改善に対する動機付けをすることができた。
【症例】70歳女性。当院循環器内科より周術期口腔管理依頼で当科を受診した。 既往歴は重症大動脈弁狭窄症、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症であった。アスピリン等を多剤服用していた。初診時、残根状態の歯を多数認めEichner分類はB4であった。最終歯科受診歴は約30年前であり、2回目の受診時には唯一の咬合支持域であった歯冠補綴物が自然脱落していた。患者自身は食事に関して不便を感じないとのことであった。上顎10本、下顎4本の計14本は術前に感染源になると判断し、抜歯および義歯の製作を行うこととした。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【経過】重症大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術が予定されていたため、口腔内の感染源除去を優先し抜歯を行った。抜歯処置は、2020年7月~8月の間で3回に分けて行った。義歯製作は大動脈弁置換術後の2020年10月~11月にかけて行い上顎総義歯、下顎部分床義歯を装着した。義歯装着後、患者本人からは食事に関する変化は特にないとのことであったが、摂取可能食品を調査表にて聞き取りをしたところ、摂取可能食品の改善を認め、咀嚼能力検査では義歯装着前45mg/dl、義歯装着後95mg/dlとなり咀嚼機能の向上を認めた。
【考察】咀嚼機能低下は低栄養になりやすいことが予測されるが、今回の症例は154㎝、70㎏、BMI 29.5と肥満であった。長期にわたる咀嚼機能の低下により摂取可能食品の多様性が低下し適正な栄養状態を維持できていなかった可能性が考えられる。今回の歯科介入により、咀嚼機能の向上が得られ、摂取可能食品が多様化し、食生活の改善が期待される。調査表を用いたことで、患者自身が食生活の変化を実感でき、義歯装着に関して満足を得られた。客観的な評価、検査結果を用いることで口腔機能改善に対する動機付けをすることができた。