The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター

Fri. Jun 11, 2021 2:30 PM - 4:30 PM 認定医Line3 (Zoom)

[認定P-21] 2年以上歯周病安定期治療を行い、パーキンソン病の悪化により訪問歯科診療に移行した1症例

○德倉 圭1、玄 景華1 (1. 朝日大学医科歯科医療センター障害者歯科)

◯徳倉 圭、 玄 景華
朝日大学医科歯科センター 障がい者歯科

【緒言】
 今回、義歯作製及び定期的な歯周病安定期治療を2年以上行い、その後にパーキンソン病が悪化し通院困難になった為に訪問歯科診療に移行して口腔健康管理を行い歯周疾患の状態を維持した1例を経験したので報告する。

【症例】
 81歳、男性
 主訴は左側上顎臼歯部の義歯作製の希望。既往歴はパーキンソン病、睡眠時無呼吸症候群及び関節リウマチ。義歯は平成29年4月より7か月ほど装着していなかった。数年前にパーキンソン病を発症してから身体を自由に動かすことが徐々にできなくなり、適切なブラッシング等のセルフケアが困難になった。初診時の残存歯の歯周疾患の程度は中等度歯周炎でプラークコントロール不良であった。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。

【経過】
 初診時は義歯未装着のため咬合状態が不良で歯の動揺を認めた。口腔衛生指導、歯周基本治療を行い、歯の動揺が軽度になった事から左側上顎臼歯部の義歯作製を行った。パーキンソン病による下顎の不随意運動があった為、義歯の試適を何度か繰り返した。ノンクラスプデンチャーを希望され作製したが、義歯の脱着が自分自身では困難な事が何度かあった。そのため、マウスピース着脱用の金属製フックを利用して義歯の着脱ができるように本人と介助者を指導した。平成30年5月にパーキンソン病の悪化により入院した。翌月退院し歯周病安定期治療に移行。その後2年間毎月のメンテナンスを行った。令和1年10月頃から含嗽が困難になり、さらに翌11月に通院困難となった。ご本人の希望により訪問歯科診療へ移行。訪問歯科診療にて専門的口腔ケアを行い口腔健康管理を継続している。

【考察】
 パーキンソン病が徐々に悪化する中で口腔衛生指導はできる限り簡単で把持しやすい歯ブラシを工夫する事で対応した。ノンクラスプデンチャーはパーキンソン病患者には脱着しにくい為、ノンクラスプデンチャーは避けた方がよいと考える。訪問歯科診療に移行後は専門的口腔ケアによる口腔健康管理を行った。ご本人自身による口腔清掃が困難になる中で少しでも自分自身でできるように歯ブラシを工夫し配慮した。今後、来院中から訪問歯科診療に移行する可能性のある症例では事前にケアプランナーと話し合ってより計画的に口腔健康管理を行う必要性があると考える。