The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

日本老年学会合同ポスターセッション

e-ポスター抄録 » 日本老年学会合同ポスターセッション

日本老年学会総会合同セッション

[合同 3-2(歯)] 後期高齢者の服薬数と歯科口腔現症・食事状況との関連-後期高齢者歯科口腔健康診査(LEDO健診)解析-

○齋藤 寿章1、富永 一道1、西 一也1、清水 潤1、井上 幸夫1 (1. 島根県歯科医師会地域福祉部委員会)

【目的】
 島根県歯科医師会は平成27年より後期高齢者を対象としたLEDO健診を実施している。問診票では口腔の困りごと、清掃状況、受診行動、服薬数、食事状況等を調べ、健診票ではBMI、下腿周囲長、現在歯数、歯周組織の状態、義歯の適合、咀嚼能力、舌機能・構音機能・嚥下機能のスクリーニング、口腔衛生状態等を診査している。本研究の目的はLEDO健診データを用いて後期高齢者の服薬数と歯科口腔現症・食事状況との関連について探索的に解析することである。
【方法】
 島根県後期高齢者医療広域連合から提供された平成29年度LEDO健診データ8762名のうち問診・健診結果の欠損を除外した7587名(男/女=42%/58%、70代/80代=48%/52%)を解析対象とした。歯科口腔現症・食事状況は問診・健診データから各項目を2値化した。客観的咀嚼能力はグミゼリー「ファイン組®」15秒間咀嚼後の分割数で判定し、0〜50パーセンタイルを「客観噛めない」、それ以上を「客観噛める」とした。主観的咀嚼能力は「噛めない物がある」を「主観噛めない」、「何でも噛める」を「主観噛める」とした。服薬数は0、1〜4、5以上の3群に分類した。(解析1)服薬数と基本属性・歯科口腔現症・食事状況とのクロス集計後χ検定を行った。(解析2)BMI・下腿周囲長・歯科口腔現症・食事状況それぞれの2値変数を目的変数、性・年齢を調整変数、服薬数を説明変数としたロジスティック回帰分析を行ない服薬数との関連を検討した。
【結果と考察】
 解析1では、服薬数と歯科口腔現症・食事状況の多くの項目との有意な関連が観察された。解析2では、服薬数0に比べて服薬数1〜4の者は、BMI25以上、構音機能低下、歯科治療中断該当の者が多く、BMI18.5未満の者、定期の歯科受診しない、食事の工夫をしない者が少なかった。さらに、服薬数5以上の者では、20歯未満、客観的咀嚼能力、主観的咀嚼能力、舌機能、構音機能、嚥下機能低下の者、口腔の乾燥を感じる者が多く、これらに起因すると思われる口腔の困りごとを訴える者や食事状況に問題のある者も多く観察された。服薬数と歯科口腔現症・食事状況との有意な関連が示され、歯科口腔の診査と指導には服薬情報の確認が必須であると考えられた。さらに検討を加え考察する。
(COI:開示なし、一般社団法人島根県歯科医師会倫理委員会 承認番号13号)