The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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口腔機能

[P一般-039] 中年期・老年期患者の口腔機能に対する関心度と口腔機能状態の関連性

○中田 悠1、柾木 雄一2、大久保 真衣3、渡部 友莉3、杉山 哲也4、小林 健一郎2、石田 瞭3 (1. 東京歯科大学短期大学、2. こばやし歯科クリニック、3. 東京歯科大学口腔健康科学講座摂食嚥下リハビリテーション研究室、4. 東京歯科大学千葉歯科医療センター総合診療科)

【目的】
口腔機能の維持,回復のためには適切な診断,管理,動機付けが重要であり,中年期から介入する必要があるといわれている。われわれは中年期・老年期の患者に対して,口腔機能に対する関心度と口腔機能状態との関連性について検討した。
【方法】
対象は2019年10月から2020年10月までの13か月間,某歯科診療所において,研究参加に同意が得られた50歳以上の初診患者71名とした。対象者には初診時に「口腔機能低下症を知っているか」,「歯科医院では口腔機能も診察するべきだと思うか」など5項目からなる口腔機能への関心に関する質問を行い,「とてもそう思う」から「全く思わない」の4段階で回答させた。質問ごとに「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した者を関心あり群(P群),「あまり思わない」「全く思わない」と回答した者を関心なし群(N群)に分類した。その後,口腔機能低下症の7つの下位症状について口腔機能精密検査を行い,口腔機能状態の指標とした。口腔機能に対する関心度と口腔機能状態との関連性についてMann-Whitney U検定を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果と考察】
最終的な対象者は,59名(平均年齢74.5±11.4歳,男性27名,女性32名)であった。「口腔機能低下症の認知度」の項目ではP群4名,N群55名であり,二群間で口腔機能状態の有意差は認めなかった。「訓練の必要性」の項目ではP群21名,N群38名であり,P群の方がEAT-10の点数が高かった(p<0.05) 。「口腔機能と全身の関連性」の項目ではP群31名,N群28名であり,N群の方が舌苔スコアは高く,オーラルディアドコキネシス(OD)は低かった(p<0.05)。「口腔機能の診察の必要性」の項目では,P群32名,N群27名であり,N群の方がOD,舌圧が低かった(p<0.05)。「検査の必要性」の項目では,P群36名,N群23名であり,N群の方が咬合力,舌圧が低かった(p<0.05)。
本結果より,患者一人一人の口腔機能に関する知識や関心を向上させることが,口腔機能の維持や改善に繋がると考えられる。また,口腔機能低下症に関する知識の普及が不十分なことも示唆されたため,中年期以降の者を対象とした普及啓発活動を充実させる必要があると考えられた。
(東京歯科大学 倫理審査委員会承認番号:948)