一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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地域歯科医療部門

[P一般-025] 地域歯科医師会に対するオンラインを用いた摂食嚥下障害の臨床研修の取り組み

○並木 千鶴1,3、原  豪志2、玉井 斗萌1、長谷川 智子3、出浦 恵子4、川勝 美里1、石川 潤3、野原  通3、戸原  玄1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 神奈川歯科大学付属病院全身管理高齢者歯科、3. 医療法人財団聖蹟会埼玉県央病院歯科口腔外科、4. 埼玉県歯科医師会)

【目的】摂食嚥下障害患者が増加している現状において,歯科医師は卒後教育の充実が望まれており,近年,嚥下障害に関する講演やセミナー,学会等,数多く開催されていた。しかし昨年,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の感染拡大により学会をはじめとする,人が密集するイベント開催や対面講義が停止された。そこで今回新たな手段として地域歯科医師会とオンラインによる見学型の摂食嚥下障害の研修会を試みたので報告する。

【方法】埼玉県央病院の摂食嚥下リハビリテーション外来にて嚥下障害を主訴に来院した患者2名に対し,埼玉県央病院の歯科医師がオンラインで診療支援者となり,東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野の歯科医師とオンライン上でD to P with Dの形態で診療を行った。手順としては,問診を行い,食事場面の観察や嚥下内視鏡検査を実施した.その様子を地域歯科医師会の歯科医師がオンラインで見学を行った。具体的には,問診は患者の原疾患,服薬状況,摂食状況などの聴取を行い,次に精神,身体機能の評価および口腔,咽頭機能の観察におけるポイント,そして嚥下内視鏡検査の評価法,推奨される訓練法に至るまでを,診療の流れにそって解説を行なった。

【結果と考察】研修会後のアンケートにおいて,オンラインによる摂食嚥下障害患者の臨床研修は,今後の臨床に活かせるとの意見や,オンラインによる研修をまた受けたいとの意見が多く,COVID-19下でのオンラインによる摂食障害患者の臨床研修会は有用であった。しかし不安定な通信速度のため3者の間でタイムラグが生じたり,インターネットを介した嚥下内視鏡検査の画像が見えにくかったとの意見があった。そのため今後,ネットワーク環境や画像の解像度の向上など通信機器システムの再構築が必要である。

(COI 開示なし)