一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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地域歯科医療部門

[P一般-029] 口腔乾燥症及びその他口腔疾患を抱えた通院患者に対して口腔衛生管理を行った症例

○徳竹 宏保1、真鍋 果歩2 (1. 徳竹歯科医院、2. 株式会社ニッシン)

【目的】
 近年、口腔ケアというワードを頻繁に耳にするようになり、介護医療現場での歯科関係者介入の機会も増加している。しかし、歯科診療が必要な要介護者のうち、7割近くが実際には治療を受けられていないのが現状である。今回我々は、口腔乾燥症患者に対して、また口腔乾燥症から付随して起こる様々な口腔内トラブルを抱えた患者に対して、口腔保湿ジェル(keora®オーラルモイスチャージェル、ニッシン、京都)、口腔保湿液(keora®オーラルモイスチャーミスト、ニッシン、京都)を用いた口腔衛生管理を実施することで臨床的効果を示すことができた症例について報告する。
【症例の概要と処置】
 対象患者は、徳竹歯科医院に通院中で中等度~重度の口腔乾燥症を主訴としている、20~70代の男女3名の患者である。ご自宅及び来院時に口腔保湿剤を用いた口腔衛生管理を実施し、写真撮影による経過観察を行った。
【結果と考察】
 すべての症例に関して、口腔内所見として口腔乾燥症が発現していた患者の口腔内が改善していた。またそれに付随して、舌炎の改善による舌痛症が抑えられた症例、口角炎等の口腔粘膜の炎症が収束していた症例が確認できた。これは、口腔保湿剤の配合成分ナールスゲン®による線維芽細胞や表皮細胞の活性化によって、保湿効果の増大や抗酸化作用がもたらされたことによるものだと考えられる。また舌苔の付着度合が改善していた症例も認められた。これは口腔保湿剤の配合成分リピジュア®による皮膚バリア機能によって、菌や食渣の付着が抑制されたものだと考えられる。
本検討により、口腔保湿剤は、口腔乾燥状態を改善させることが可能なことが示された。また口腔乾燥症が要因の1つでもある口腔粘膜疾患や口臭の改善にも繋がる可能性があることから、より深刻な口腔内環境を保有していることの多い要介護者に対する口腔衛生管理への活用はもちろんのこと、ドライマウスや口臭が気になる若者を対象としたセルフケア、さらにはガムホワイトニング、PMTC後の歯肉炎症緩和、ホワイトニング後の色戻り防止や義歯に対する防汚効果などへの応用可能性が示唆された。
(COI開示:なし)