一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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[P一般-001] サクソンテストはすべての患者で有効かー非シェーグレン症候群患者における調査ー

○皆木 瞳1,2,3、山中 賀惠2、阪井 丘芳2 (1. 岡山大学大学院医歯薬総合研究科 細胞組織学、2. 大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学教室、3. 学術振興会 特別研究員)

【目的】
サクソンテストは口腔乾燥症患者に対する唾液量分泌量の検査法として広く用いられている検査の一つである。しかしながら、サクソンテストに関する報告はシェーグレン症候群患者を対象にしたものが大半を占めており、シェーグレン症候群以外の口腔乾燥症患者(以下、非シェーグレン患者)での実態は明らかになっていない。そこで今回、非シェーグレン患者におけるサクソンテストの実態および妥当性の検討を行うこととした。

【方法】
2013年1月から2017年12月までに大阪大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部口腔乾燥外来の初診患者302名(男性36名、女性266名、平均年齢65.6±0.71歳)を対象とした。これら対象者の唾液分泌量をサクソンテストで計測した。また目的変数をサクソンテスト、説明変数を年齢、性別、基礎疾患数、服用薬剤数として重回帰分析を行った。さらにサクソンテストと他の唾液分泌量検査との関係を検討するために、サクソンテストと安静時唾液量検査、ムーカス検査、Visual analog scale(VAS)を用いた口腔乾燥症状の主観的評価の項目についてSpearmanの順位相関係数を用いて解析を行った。

【結果と考察】
サクソンテストは2.00(g/2min)を基準値とするが、対象者の平均は2.42 ±0.1(g/2min)で対象者の57.6%は陰性であった。また口腔乾燥に影響を与えるといわれている年齢、性別、基礎疾患数、服用薬剤数の因子とサクソンテストについて多変量解析を行ったところ、年齢と性別がサクソンテストの結果に影響を与えていることが分かった (p<0.01) 。またサクソンテストは他の唾液分泌量検査との相関が高く、有効な唾液分泌量検査であった。以上の結果より、サクソンテストは非シェーグレン患者においても有用な検査方法であるということが示された。しかしながら、多くの非シェーグレン患者ではサクソンテストの結果では陰性を示すという問題点も明らかになったことから、サクソンテストの基準値の見直しが必要であると考えられた。

(COI開示:なし)

(大阪大学歯学部附属病院 倫理審査委員会承認番号:H27-E10-1)。