The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

一般演題(ポスター)

e-ポスター抄録 » 一般演題(ポスター)

一般部門

[P一般-003] 規格化された弁当を使用した後期高齢者の摂食機能評価の試み

○富永 一道1、清水 潤1、齋藤 寿章1、西 一也1、井上 幸夫1 (1. 島根県歯科医師会地域福祉部委員会)

【目的】配食サービスの充実は高齢者の低栄養を予防し、フレイル対策として重要とされている。我々は、島根県後期高齢者歯科口腔健診(以下LEDO健診)データ分析で、口腔機能と栄養状態を関連づけることが出来たが、食材の選択や、調理との関連付けは十分とは言えない。そこで、規格化された弁当の同一条件下における高齢者の摂食状態を観察し口腔機能(咀嚼・嚥下)と摂食機能を関連づけることを目的として本研究を行なった。

【方法】配食弁当事業を展開しているモルツウェル株式会社に依頼し米飯、豚の角煮、筍の煮物、一口牛蒡、イカの煮物、結び昆布、卯の花からなる重量340g、608kcalの弁当を作成した。令和元年度LEDO健診参加者で、この事業に参加の意思を示した後期高齢者に咀嚼能力検査(ファイン組、UHA味覚糖グミ、GCグルコラム)を行った後、規格化弁当を食べてもらい完食時間、総咀嚼回数、総嚥下回数を計測した。LEDO健診で使用しているファイン組は男女別15秒間分割数を0〜10%/10〜30%/30〜50%/50〜100%の4群とした。それ以外の指標は四分位とした。完食時間、総咀嚼回数、総嚥下回数と関連する健診および計測項目をスピアマン順位相関係数の有意性(p<0.3)を指標として探索した。有意と判定された項目を説明変数として投入し、ステップワイズ法(変数増減法p<0.1)による重回帰分析によって目的変数(完食時間、総咀嚼回数、総嚥下回数)に対して有意な変数モデルを探索した。

【結果】分析対象は22名(男性12名、女性10名)、平均年齢80.7歳(SD5.2)であった。重回帰分析の結果、完食時間は咀嚼能力が低いと延長、女性は男性より延長、食事の満足度が高い者は短縮傾向、食卓を囲む人数が増えると延長傾向だった。総咀嚼回数は咀嚼能力が低いほど増加傾向、食事満足度が高いと減少傾向、食卓を囲む人数が増えると増加傾向、BMIが大きいと増加傾向であった。総嚥下回数に対する有意なモデルは確認されなかった。

【結論】咀嚼能力が低い者は8020達成者に比べて完食に1.5倍の時間がかかっていた。咀嚼回数も1.9倍多かった。食卓を囲む人数など普段の食環境の影響も受けていた。

公益財団法人8020推進財団研究助成(8020公募研究19-4-11)を受けている

島根県歯科医師会倫理審査委員会承認番号10