[P一般-009] クロロゲン酸代謝産物によるボルテゾミブ誘発性神経障害の抑制
【緒言】我々は、第31回学術大会において多発性骨髄腫の治療に使用されている分子標的治療薬(プロテアソーム阻害薬)のボルテゾミブがラットPC12神経様細胞に強い傷害活性やsubG1期への集積を誘導すること、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が、ボルテゾミブ誘発性神経傷害を、腫瘍細胞選択毒性を維持したまま回復させること、そしてクルクミン、レスベラトロール、p-クマル酸には、神経保護効果がないことを発表した。クロロゲン酸はコーヒーの焙煎度が深くなるにつれ、カフェ酸、バニリン酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸などに分解される。今回、クロロゲン酸の神経細胞保護効果が、これらの代謝産物によるものか否か検討した。
【方法】生細胞数はMTT法で測定した。腫瘍選択性(TS)は3種のヒト口腔間葉系正常細胞(HGF、HPLF、HPLF)、4種のヒト口腔扁平上皮癌細胞(Ca9-22, HSC-2, HSC-3, HSC-4) に対する50%細胞傷害濃度の比により求めた。神経様細胞としては、無血清培地中、5 ng/ml NGF存在下で6日間培養し神経突起を伸ばした分化したPC12細胞、ヒト神経芽細胞(SH-SY5Y)、ラットシュワン細胞腫由来細胞(LY-PPB6)を用いた。神経毒性(NT)は、3種のヒト口腔間葉系正常細胞、3種の神経細胞に対する50%細胞傷害濃度の比により求めた。アポトーシス細胞は、セルソーターを用いて、SubG1期細胞の集積により定量した。
【結果】クロロゲン酸、及び4種の代謝産物の腫瘍選択性(TS=><1)は、抗癌剤のメルファラン(TS=13)、ドキソルビシン(TS=36)と比較して低かった。これらの神経毒性(NT=1~1.2)は抗癌剤 (NT=33~115) と比較して二桁低かった。ボルテゾミブ誘発性神経毒性は、クロロゲン酸とカフェ酸により消失した。他の代謝物は不活性であった。
【考察】クロロゲン酸は、カフェ酸とキナ酸が脱水縮合した構造を持つ。今回、クロロゲン酸のカフェ酸部分が神経毒性の緩和に関与していることが明らかになった。またカフェ酸のOHをOCH3に置換すると神経保護作用が消失することがら、3次元構造が神経保護に重要な役割を果たしていることが示唆された。現在クロロゲン酸及びカフェ酸の神経保護作用が、アポトーシスの抑制によるものか否か、グルタチオンが関与しているか否かについて検討中である。
【方法】生細胞数はMTT法で測定した。腫瘍選択性(TS)は3種のヒト口腔間葉系正常細胞(HGF、HPLF、HPLF)、4種のヒト口腔扁平上皮癌細胞(Ca9-22, HSC-2, HSC-3, HSC-4) に対する50%細胞傷害濃度の比により求めた。神経様細胞としては、無血清培地中、5 ng/ml NGF存在下で6日間培養し神経突起を伸ばした分化したPC12細胞、ヒト神経芽細胞(SH-SY5Y)、ラットシュワン細胞腫由来細胞(LY-PPB6)を用いた。神経毒性(NT)は、3種のヒト口腔間葉系正常細胞、3種の神経細胞に対する50%細胞傷害濃度の比により求めた。アポトーシス細胞は、セルソーターを用いて、SubG1期細胞の集積により定量した。
【結果】クロロゲン酸、及び4種の代謝産物の腫瘍選択性(TS=><1)は、抗癌剤のメルファラン(TS=13)、ドキソルビシン(TS=36)と比較して低かった。これらの神経毒性(NT=1~1.2)は抗癌剤 (NT=33~115) と比較して二桁低かった。ボルテゾミブ誘発性神経毒性は、クロロゲン酸とカフェ酸により消失した。他の代謝物は不活性であった。
【考察】クロロゲン酸は、カフェ酸とキナ酸が脱水縮合した構造を持つ。今回、クロロゲン酸のカフェ酸部分が神経毒性の緩和に関与していることが明らかになった。またカフェ酸のOHをOCH3に置換すると神経保護作用が消失することがら、3次元構造が神経保護に重要な役割を果たしていることが示唆された。現在クロロゲン酸及びカフェ酸の神経保護作用が、アポトーシスの抑制によるものか否か、グルタチオンが関与しているか否かについて検討中である。