一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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一般部門

[P一般-015] 介護福祉施設入所者におけるOAGと肺炎死の関係 1年前向きコホート研究中間解析

○山口 摂崇1、村松 真澄2、山中 大寛1、越智 守生1 (1. 北海道医療大学、2. 札幌市立大学)

【目的】

 北海道内の介護福祉施設入居者のうち,口腔リハビリテーションや粘膜ケアを行っていない入居者においてベースライン時のOral Assessment Guide(OAG)と一年後の肺炎死の関連性を検討した.

【方法】

本研究は1年間の前向きコホート研究である.北海道内の介護福祉施設のうち本研究への参加協力を得られた9施設で実施した(調査期間:平成30年7月~令和2年2月).除外基準は口腔リハビリテーション,粘膜ケアを受けているものとした.従属変数をベースライン調査一年経過後の肺炎による死亡,説明変数をOAGとし,統計解析はFisher’s Exactly testを用いて分析した.統計解析にはSPSS Ver24を使用した.

【結果と考察】

 本研究のベースライン調査での対象者は267名であり,除外基準に130名該当したため,統計解析は137名(男性入所者31名,女性入所者106名, 平均年齢86.7±6.39歳)であった.ベースライン調査一年経過後に肺炎で3名(男性入所者2名,女性入所者1名)が死亡した.OAGのスクリーニング評価8項目のうち,肺炎死との関係があったのは,「舌」と「粘膜」であった(p < 0.05).性差を加味すると女性入所者においては「舌」(p < 0.001),「唾液」(p < 0.05)において肺炎死と関連が示唆された.この結果から,口腔リハビリテーション,粘膜ケア等の機能的口腔ケアを受けていない介護福祉施設入居者においてはOAGのスクリーニング項目のうち「舌」,「粘膜」,「唾液」の3項目が肺炎死のスクリーニング因子になる可能性が示唆された.また,性別による傾向の差異も確認された.一方で,サンプルサイズが少ないこと,交絡因子を全て調整できていないことが研究の限界である.今後サンプル数を増やしていくとともに,本研究の中間解析結果をもとにサンプルサイズの計算を行っていく.さらに機能的口腔ケアを行っている対象者においても同様の解析を行う予定である.

北海道医療大学倫理審査委員会承認番号 第178号