[P一般-018] 患者特性からみた口腔機能低下症,サルコペニア,フレイルの関係
【目的】
サルコペニアやフレイルに至る過程で口腔機能の低下を伴うことが報告されている。しかし,これらの心身虚弱過程に口腔に関する患者の状況がどのように関わっていくのか不明であり,これらの関係を明らかにすることが必要であると考えられる。今回,口腔機能低下症の検査と同時に,サルコペニア,フレイルの検査を行い,当科外来の患者特性を加味してこれらの関係を検討したので報告する。
【方法】
2020年2月から2021年1月までの期間に,鹿児島大学病院義歯補綴科において口腔機能低下症の検査ならびにサルコペニア,フレイルに関する検査を実施した66名(男性37名,女性29名)について,2つの患者特性(欠損歯数の大小,歯周管理の有無),各口腔機能検査,サルコペニアおよびフレイルの関係について検討した。サルコペニアの診断は,骨格筋量,歩行速度,握力からAWGSの2019年基準に基づいて行い,フレイルの診断は,体重減少,疲労感,活動量,歩行速度,握力から国立長寿医療センター式に基づいて行った。統計は,spearmanの相関分析,Mann-whitney U test, 2項ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
66名中(平均年齢75.7歳),40名が片顎9歯欠損以上の多数歯欠損患者,23名が歯周管理中の患者であり,52名が口腔機能低下症,10名がサルコペニア,4名がフレイルと診断された。舌圧を除いた全ての口腔機能低下症の個別機能検査ならびに口腔機能低下症の有無に対して,欠損歯数の大小ならびに歯周管理の有無は有意な相関を示し,多数歯欠損患者は少数歯欠損患者より,義歯患者は歯周管理中患者より各検査において有意な低値を示した。サルコペニアの有無ならびにフレイルの有無に対して,舌圧ならびに聖隷式嚥下質問のみが有意な相関を示し,サルコペニア群は非サルコペニア群より,フレイル群は非フレイル群より舌圧は有意に低値となった。またロジスティック回帰分析から舌圧はこれらの全身状態に有意に影響を与える因子であった。本研究の結果から,欠損歯数の大小と歯周管理の有無による患者特性が口腔機能低下症の診断傾向を表し患者選択の目安となることが示され,口腔機能検査の中でも舌圧がサルコペニアとフレイルの全身的状態を反映しやすいことが示された。
(COI開示:なし)(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認番号 190165疫
サルコペニアやフレイルに至る過程で口腔機能の低下を伴うことが報告されている。しかし,これらの心身虚弱過程に口腔に関する患者の状況がどのように関わっていくのか不明であり,これらの関係を明らかにすることが必要であると考えられる。今回,口腔機能低下症の検査と同時に,サルコペニア,フレイルの検査を行い,当科外来の患者特性を加味してこれらの関係を検討したので報告する。
【方法】
2020年2月から2021年1月までの期間に,鹿児島大学病院義歯補綴科において口腔機能低下症の検査ならびにサルコペニア,フレイルに関する検査を実施した66名(男性37名,女性29名)について,2つの患者特性(欠損歯数の大小,歯周管理の有無),各口腔機能検査,サルコペニアおよびフレイルの関係について検討した。サルコペニアの診断は,骨格筋量,歩行速度,握力からAWGSの2019年基準に基づいて行い,フレイルの診断は,体重減少,疲労感,活動量,歩行速度,握力から国立長寿医療センター式に基づいて行った。統計は,spearmanの相関分析,Mann-whitney U test, 2項ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
66名中(平均年齢75.7歳),40名が片顎9歯欠損以上の多数歯欠損患者,23名が歯周管理中の患者であり,52名が口腔機能低下症,10名がサルコペニア,4名がフレイルと診断された。舌圧を除いた全ての口腔機能低下症の個別機能検査ならびに口腔機能低下症の有無に対して,欠損歯数の大小ならびに歯周管理の有無は有意な相関を示し,多数歯欠損患者は少数歯欠損患者より,義歯患者は歯周管理中患者より各検査において有意な低値を示した。サルコペニアの有無ならびにフレイルの有無に対して,舌圧ならびに聖隷式嚥下質問のみが有意な相関を示し,サルコペニア群は非サルコペニア群より,フレイル群は非フレイル群より舌圧は有意に低値となった。またロジスティック回帰分析から舌圧はこれらの全身状態に有意に影響を与える因子であった。本研究の結果から,欠損歯数の大小と歯周管理の有無による患者特性が口腔機能低下症の診断傾向を表し患者選択の目安となることが示され,口腔機能検査の中でも舌圧がサルコペニアとフレイルの全身的状態を反映しやすいことが示された。
(COI開示:なし)(鹿児島大学 疫学研究等倫理委員会承認番号 190165疫