The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

[摂食P-11] 地域包括ケアシステムの実現に向けて食支援を通して医科歯科連携を推進した活動の報告

○齋藤 貴之1 (1. ごはんがたべたい歯科クリニック)

【はじめに】2020年4月に地域における食支援と摂食嚥下リハビリテーションを主軸とした歯科クリニックを開院した。現在は在宅医療機関や地域の中核病院と協力医療機関として連携し、歯科的な問題や食事の問題の解決に取り組んでいる。当院の取り組みの現状と今後の医科歯科連携にむけた課題について報告したい。
【開院前の取り組み】当院は東京都板橋区にあるやまと診療所(在宅患者数 約1300名、年間看取り数 約500名)と協力医療機関として連携している。開院前に歯科ニーズについての調査を行ったところ、ほとんどが具体的なニーズは思い当たらず、歯科の取り組みについて分からないという意見が大半をしめる結果であった。
【開院後の取り組み】この様な現状を踏まえて、開院後は患者を共有しながら、歯科が行っていることについて随時報告し、その場でカンファレンスを行っていった。とりわけ食事についての課題は患者の訴える問題点や改善に向けたアウトカム(例 ハンバーグ食べれるようになったなど)をイメージしやすいようであった。この取り組みを知った地域の中核病院から同様の連携の申し出があり、これらの病院とは院内NSTラウンドや合同カンファレンスを開催して、入院患者の咀嚼機能の回復や口腔衛生状態の改善を行っている。
【今後の課題と改善に向けた取り組み】当院の活動に関して医科の協力医療機関からは「今までできなかった食事に関する相談ができるようになった。」という声を頂いている。一方で摂食嚥下障害で歯科診療依頼を受けて訪問してみると義歯などの歯科的問題や口腔衛生状態に原因があるケースも多く存在するのが現状である。このことから歯科的な問題があるにも関わらず、食事に関する訴えがないため、歯科医療機関につながっていない潜在患者はまだまだ多く地域に存在していると推察された。今後も学会専門医として医科医療機関との連携推進や地域への啓蒙活動に尽力し、国民の健康増進や介護の重症化予防に貢献していきたいと考えている。