一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

[摂食P-16] コロナ禍におけるオンラインを用いた経口維持の支援について

○中根 綾子1 (1. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
 介護保険施設では、栄養ケア・マネジメントとして入所者の栄養状態の維持・改善に努めるために栄養ケア計画を作成し、個別に栄養管理を行っている。さらに摂食機能障害を有する入所者に対しては、経口摂取支援を充実させることを目的に経口維持の取り組みがある。
 歯科医師としての経口維持の支援は、口腔機能を含む摂食嚥下機能の評価と、食事の観察・会議を通して経口維持計画の立案を支援し、定期的にその見直しを多職種と協働して行うものである。
 本来は評価や食事観察・会議を対面で実施するものであるが、コロナ禍における緊急事態宣言により対面での実施が困難な状況となり、感染予防対策として介護保険施設の入所者の経口維持の支援をオンラインにて行ったので、ここに報告する。
【症例の概要と処置】
 東京都内における2つの介護保険施設において、2020年4月-5月に発出された緊急事態宣言中に本人・家族、施設の求めに応じて経口維持の支援のため、オンラインで機能評価と食事観察・多職種会議を行った。対象者は対面で診察を行ったことのある入所者とし、オンラインでの実施にあたり、事前に各地域の介護保険担当部署に確認許可を取った。
 システムはオンライン診療・疾患管理システム「Yadoc」((株)インテグリティ・ヘルスケア)を用い、事前に施設側はタブレット端末にアプリをインストールし、端末のビデオ通話を利用した。医療者側はパソコン端末にアカウントを作成した。オンライン診療当日は施設職員と連携し入所者をモニターに映し出し、問診・口腔機能評価・摂食嚥下機能評価(スクリーニングテスト)を行った後、食事観察・多職種会議を実施した。口腔内の観察時には、施設側にペンライトを準備させた。
【結果と考察】
 施設職員や入所者との問診は、滞りなく実施可能であった。口腔内の観察は、開口指示に従える者は軟口蓋まで観察可能で、従命困難な者には施設職員の補助があっても、口腔内後方部の観察は難渋した。また摂食嚥下機能評価は実施可能であり、多職種会議は対面と遜色なく行えた。経口維持の支援において、オンライン診療の有用性が明らかとなった。
 施設職員の意見として、「感染対策を講じながら日常の業務を継続することが困難な中、オンライン診療で不安事項が一つ解決できた。」「通院が困難な入所者に対する受診のありかたの選択肢の一つとして広がっていってほしい」という声が上がった。