The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

[摂食P-18] 多職種を対象とした摂食嚥下リハビリテーションに関する教育活動

○古屋 純一1 (1. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座)

【緒言】
高齢者の摂食嚥下リハビリテーションでは、歯科専門職だけでなく、多職種連携・協働による摂食嚥下障害へのアプローチが重要である。そのため、申請者は認定期間中に所属した病院において医科の医療従事者を対象に教育活動を行ってきた。特に、急性期脳卒中患者の摂食嚥下リハビリテーションについて、多職種を包含した教育・臨床・研究システムの構築を担当した。また、シームレスな地域連携と摂食嚥下リハビリテーションの普及の観点から、地域の歯科医療従事者向けの教育活動も多数行ってきたため、ここに報告する。
【活動】
2015年〜2020年に在籍した前任校では摂食嚥下リハビリテーション外来に所属し、在宅療養患者の摂食嚥下障害を担当した。また、医学部附属病院の栄養サポートチームと緩和ケアチームにも所属し、急性期の摂食嚥下リハビリテーションや口腔機能管理を担当した。2016年からは、脳卒中患者を対象とした医科歯科連携・地域連携による摂食嚥下リハビリテーションと口腔機能管理を開始し、そのために必要な教育活動を院内にて主体的に担当した。この取り組みは、入院後3日以内の歯科診察や、歯科による看護師や言語聴覚士の支援、柔軟かつ顔の見える連携が特徴である。また、退院後の療養生活を考慮し、回復期、維持期とのシームレスな連携のため、地域の病院や歯科医療従事者への教育活動も担当した。歯科医療が維持期で担う役割は大きいが、その効率化と均霑化が今後の課題である。そのため、申請者は多くの教育活動を行い、摂食嚥下リハビリテーションに関する医科歯科連携・多職種連携・地域連携の重要性とその現状・課題を伝えてきた。また、これらの臨床活動を研究につなげ、急性期脳卒中患者の嚥下機能と口腔機能管理の重要性を解明した。
【考察】
今後、高齢者の摂食嚥下障害は増加すると考えられるが、その最大の対応は「摂食嚥下障害を惹起させない」ことである。口腔機能の適切な管理は要介護リスクを減少させうるため、歯科外来においても嚥下機能を含めた対応が重要である。同時に、高齢者の虚弱や疾患は避けにくい問題でもある。そのため、外来と訪問のシームレスな連携や、高齢者個別の能力や希望に配慮した摂食嚥下リハビリテーションと食支援を訪問診療で実践することも重要である。今後は、これら二つの戦略をバランス良く進めていきたいと考えている。