[摂食P-42] 嚥下障害を合併した進行性核上性麻痺患者の在宅で嚥下機能評価を行った1例
【目的】
進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy:PSP)は神経変性疾患の一種で、原因は特定されていない。初発症状は易転倒・歩行障害が最も多く、足のすくみ、後方転倒、眼球運動障害の3大症状で、全経過は平均5〜6年である。今回、在宅で嚥下機能評価を行い継続して経口摂取を維持している症例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
68歳の女性。体重54.4kgでPSP、骨粗鬆症の既往あり。初診は2020年3月で、主訴は在宅での嚥下機能の精査希望であった。初診月に蒸しパンで窒息し救急搬送され、1年間で体重が5kg減少した。現病歴は2011年11月に易転倒、体重減少にて某総合医療センターに入院してPSPと診断された。2018年に痰量が急激に増加し、吸引が1日7〜8回程度であった。その頃に某総合医療センターでVE検査が施行された。その後も発熱や肺炎での入院歴は認めなかった。初診時の口腔内状況は智歯を除いて自歯があり、舌圧は7.2kPaであった。摂食状況は車いす座位で、夫が全面介助で、食事時間が1時間程度であった。食事中のむせを認め、時々お茶をストローで少量流して対応していた。翌月にVE検査を実施し、トロミ水、粥の摂取を45度リクライニング位で行い、誤嚥を認めた。7月に舌圧は3.3kPaに低下した。2回目のVE検査は9月に実施し、粥、卵豆腐、トロミ水で対応し、送り込み時間が延長、嚥下反射の遅延、咽頭残留、喉頭侵入を認め、喀出可能であった。摂食嚥下機能は口腔機能低下が顕著で、口腔内残留もあり、咽頭期障害(嚥下反射の遅延、咽頭収縮力の低下)があり、許容範囲が低下した状態であった。対応として、粥はトロミ付与し、ストローによる水分摂取で追加嚥下を促した。高カロリー食での補食も導入した。さらに早期の胃ろう造設を検討した。
【結果と考察】
PSP発症から9年近く経過しており、全身機能の低下とともに摂食嚥下機能低下も顕著であった。主治医から胃ろう造設を勧められ、今回のVE検査後に胃ろう造設が実施できた。その後に12月に摂食嚥下機能の再評価を行い、経口摂取を継続している。PSPの進行に伴い栄養管理が困難となり、胃ろうへの栄養管理の切り替えが必要である。在宅環境で本人や家族の経口摂取の希望に寄り添うことが重要である。
進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy:PSP)は神経変性疾患の一種で、原因は特定されていない。初発症状は易転倒・歩行障害が最も多く、足のすくみ、後方転倒、眼球運動障害の3大症状で、全経過は平均5〜6年である。今回、在宅で嚥下機能評価を行い継続して経口摂取を維持している症例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
68歳の女性。体重54.4kgでPSP、骨粗鬆症の既往あり。初診は2020年3月で、主訴は在宅での嚥下機能の精査希望であった。初診月に蒸しパンで窒息し救急搬送され、1年間で体重が5kg減少した。現病歴は2011年11月に易転倒、体重減少にて某総合医療センターに入院してPSPと診断された。2018年に痰量が急激に増加し、吸引が1日7〜8回程度であった。その頃に某総合医療センターでVE検査が施行された。その後も発熱や肺炎での入院歴は認めなかった。初診時の口腔内状況は智歯を除いて自歯があり、舌圧は7.2kPaであった。摂食状況は車いす座位で、夫が全面介助で、食事時間が1時間程度であった。食事中のむせを認め、時々お茶をストローで少量流して対応していた。翌月にVE検査を実施し、トロミ水、粥の摂取を45度リクライニング位で行い、誤嚥を認めた。7月に舌圧は3.3kPaに低下した。2回目のVE検査は9月に実施し、粥、卵豆腐、トロミ水で対応し、送り込み時間が延長、嚥下反射の遅延、咽頭残留、喉頭侵入を認め、喀出可能であった。摂食嚥下機能は口腔機能低下が顕著で、口腔内残留もあり、咽頭期障害(嚥下反射の遅延、咽頭収縮力の低下)があり、許容範囲が低下した状態であった。対応として、粥はトロミ付与し、ストローによる水分摂取で追加嚥下を促した。高カロリー食での補食も導入した。さらに早期の胃ろう造設を検討した。
【結果と考察】
PSP発症から9年近く経過しており、全身機能の低下とともに摂食嚥下機能低下も顕著であった。主治医から胃ろう造設を勧められ、今回のVE検査後に胃ろう造設が実施できた。その後に12月に摂食嚥下機能の再評価を行い、経口摂取を継続している。PSPの進行に伴い栄養管理が困難となり、胃ろうへの栄養管理の切り替えが必要である。在宅環境で本人や家族の経口摂取の希望に寄り添うことが重要である。