The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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全身管理・全身疾患

[P一般-062] 大動脈弁閉鎖不全症術後患者の歯科治療時の血圧変動と降圧剤の関連を調査した1例

○上野 陽子1、大内 謙太郎1、鈴木 宏樹1、陣内 暁夫1 (1. 医療法人井上会 篠栗病院 歯科)

【目的】
大動脈弁閉鎖不全症術後患者の歯科治療時の血圧変動と降圧剤の関連について調査した1例を報告する。
【症例の概要と処置】
64歳、男性。大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術後、狭心症に対するDES留置後、高血圧。2型糖尿病、慢性心房細動、高尿酸血症、腎動脈腹部大動脈瘤の既往。X年2月に当院し歯科外来受診し、X年+1年10月まで継続して歯科治療を行った。歯科治療内容は
歯周基本治療、感染根管治療、補綴治療を行った。初診時はビソプロロール(β遮断薬貼付薬)4mg1日1回貼付の処方で、血圧は140
~180/78~90mmHgであった。X年3月より、降圧薬がビソプロロールフマル酸塩1.25mg朝食後内服に変更され、同年3月以降、血圧は170~200/80~110mmHgに上昇し、ST低下もみられたため、適宜内科医に心電図と血圧値を報告し協議した。とりわけ、SRP処置時に200/95mmHgまで上昇したため、歯科治療を中止した、そのため、同処置を静脈内鎮静法で行ったところ、血圧は160~178/80~88mmHg の範囲で経過し処置を終えることができた。降圧薬処方変更から8ケ月後のX年11月より処方内容がビソプロロールフマル酸塩(β遮断薬)1.25mg朝食後内服に加え、アジルサンタン(ARB)10mg朝食後内服の2剤に変更となった。引き続き。補綴処置、歯周基本治療を行ったが、血圧135~170/74~93mmHgの範囲であり、予定歯科治療を行えた。
【結果と考察】
歯科外来での処置前の血圧は、そのときの内科受診時と近似していた。X年3月に降圧剤が変更されてから再度変更されるまでの8ヶ月
の間に、6回の内科受診と10回の歯科受診があったが、血圧は170~200/80~110mmHg であり、歯科初診時と比較して上昇していた。したがって、降圧薬処方の変更が、血圧値に影響を与えていたと考えられ、さらに、降圧薬の効果評価には6~8ヶ月程度経過を観察して評価していると示唆された。これらは、蓋然的な結果であるが、歯科医師が初診時に既往歴と処方を把握していたとしても、処方内容の変更を随時把握し、内科医との協議や歯科治療中の全身管理を検討する必要がある。
(COI:開示なし)