The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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全身管理・全身疾患

[P一般-063] 肺炎で入棟中に摂食嚥下障害対策チームに介入を依頼された症例の検討

○北川 栄二1 (1. JR札幌病院歯科口腔外科)

【目的】

肺炎で入棟した患者の背景,摂食嚥下障害の特徴や治療内容,予後などの傾向を知るために調査したので報告する。

【方法】

2019年1年間に当院呼吸器内科病棟に肺炎治療のため入棟し,摂食嚥下障害対策チームに介入依頼のあった13例(男性8例,女性5例,75歳~92歳)を対象とした。診療録をもとに,患者背景,検査結果,治療内容,経過,予後について検討した。

【結果】(重複含む)

入棟時の診断は,肺炎6例,誤嚥性肺炎5例,肺炎球菌肺炎3例などであり(肺炎の既往あり9例),入棟日数は22~90日(平均48日)であった。認知機能の低下は,あり9例,なし4例であり,ADLは,全介助8例,介助2例,自立3例であった。BMIは12.6~20.6(平均16.4)とるいそうの症例が多かった。介入依頼の理由は,誤嚥の可能性や既往あり7例,摂食嚥下評価依頼5例,むせがある3例,窒息の既往あり2例,食事再開のため評価依頼2例などであり,介入開始は入棟後平均17日であった。

反復唾液嚥下テストは,3回が2例,3回未満10例(0回4例)であり,改訂水飲みテストは,4点6例,3点4例,2点1例であった。VEの所見では,着色水による咽頭クリアランス3点の症例が3例であった。口腔内の清潔度は,比較的良好2例,不良10例で,口腔乾燥あり12例であった.

全例で口腔ケア,呼吸理学療法および摂食嚥下訓練を行った。訓練の内容は,顎引き嚥下12例,嚥下筋力増強10例,複数回嚥下9例,嚥下体操9例などの順であった。摂食嚥下能力グレードは,介入時が重症6例,中等症4例,軽症3例に対して,介入終了時は重症7例,中等症0例,軽症6例で,2極化した。介入時に絶食であった7例のうち5例は絶食のまま介入終了となった。介入後38度以上の発熱なし7例,あり6例で,肺炎の再発や増悪がなし10例,あり3例であった。入院中の死亡が4例であった。

【考察】

介入終了時の摂食嚥下グレードが重症であった7例で多く認められた特徴は,肺炎の既往あり,認知機能の低下あり,ADL全介助,BMI低値,依頼介入時絶食,VEで咽頭クリアランスが不良,介入開始後も発熱,肺炎の再発や増悪が認められた症例であった。今後の対策としては,呼吸器内科とのより緊密な連携,入棟早期からの介入開始などが必要と考えられた。

COI開示なし

JR札幌病院 倫理審査委員会承認番号 2019-3