The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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加齢変化・基礎研究

[P一般-056] Photogrammetryによる顎顔面モデルの構築と3Dプリントモデルの再現性評価

○峯 裕一1、田地 豪2、吉岡 玲奈1、和智 貴紀3、村山 長1 (1. 広島大学大学院医系科学研究科歯学分野医療システム工学、2. 広島大学大学院医系科学研究科歯学分野口腔生物工学、3. 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座クラウンブリッジ補綴学)

【目的】
 顎顔面補綴装置は,人体の一部に欠損が生じた症例に対し,人工物を用いて形態的・審美的な修復を行う治療法の一つである。近年,エピテーゼ製作に,3Dスキャナを用いたデジタル印象の研究が行われている。これらの研究は従来法である歯科用印象材を用いた印象採得時の軟組織の変形,患者の不快感・不安感といった欠点を解決し,特に高齢患者の負担軽減に有効であると考えられる。本研究では,より低廉な顎顔面のデジタル印象法を検討することを目的とし,Photogrammetryの有用性を評価した。
【方法】
 Photogrammetryは,静止画を解析・統合することで3Dデータを得る手法である。本研究では,右上眼瞼脂腺癌術後の右眼窩部欠損患者からアルジネート印象材により採得・作製した石膏模型を実験対象として使用した。iPadで石膏模型の静止画像を50枚取得し,Photogrammetryソフトウェアにより3Dモデル(以下,PGM)を生成した。また本手法の精度比較のため,構造化光3Dスキャナを用いて同様に3Dモデル(以下,SM)を生成した。PGMは,ランドマークを使用しサイズ情報を付与した。これらの3Dデータから積層造形装置により石膏モデルを造形した。造形したPGMおよびSM石膏モデル(pPGMおよびpSM)を,デジタルノギスを使用し計測した。5名の計測者がそれぞれ独立してPGMおよびpPGMを作製し,それぞれが5回計測を行った。
【結果と考察】
 患者石膏模型とpSMの対象部位を計測した結果,その差は鼻翼部1.29mm(95%信頼区間:0.81-1.77, p<0.001),眼窩欠損部縦0.34mm(-0.07-0.75, p=0.092)および眼窩欠損部横0.86mm(-0.13-1.58, p=0.026)であった。また,患者石膏模型とpPGMにおける対象部位の差は,鼻翼部1.23mm(95%信頼区間:0.73-1.73, p<0.001),眼窩欠損部縦0.36mm(-0.14-0.85, p=0.134)および眼窩欠損部横0.23mm(-0.55-1.02, p=0.512)であった。本研究より,Photogrammetryによる顎顔面のデジタル印象法は良好な再現性が認められ,エピテーゼ治療に応用可能であると示唆された。
広島大学疫学研究倫理審査委員会承認番号:E-1859-1 COI開示:なし