The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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加齢変化・基礎研究

[P一般-061] DNA損傷誘発性細胞老化におけるオートファジーの役割

○吉田 瑞姫1,2、山口 真広1、内藤 徹1 (1. 福岡歯科大学高齢者歯科、2. 福岡歯科大学口腔医学研究センター)

【研究】
 DNA損傷誘発性細胞老化におけるオートファジーの役割

 〇吉田 瑞姫,山口 真広,内藤 徹

 福岡歯科大学 高齢者歯科学 口腔医学研究センター

【目的】
 オートファジーは細胞内の恒常性維持を担っている。このことから、オートファジーは細胞老化を制御しているという仮説を検証するために、エトポシド(ETO)刺激によるDNA損傷誘発性細胞老化を誘導した細胞におけるオートファジーの働きを検討した。
【方法】
 1)細胞:ヒト表皮角化細胞株(HaCaT細胞)を10%FBS及び抗生剤含有DMEM培地により培養を行った。2)細胞老化及びオートファジーの誘導:HaCaT細胞へETOを各濃度で投与し、誘導を行った。ETO誘導性オートファジーに対して、オートファゴソームとリソソームの結合を抑制するクロロキン(CQ)をETOと混合して投与し、オートファジー阻害について検索した。3)細胞染色:刺激群及びコントロール群を4%パラホルムアルデヒドで固定し、TritonXにて前処理を行い細胞染色及び細胞免疫染色を行った。①γH2AX染色(DNA損傷の検出)②LC3B染色(細胞内オートファゴソームの検出)③SaβGal染色(細胞老化の検出)4)ウエスタンブロッティング法によるタンパク解析
【結果と考察】
  γH2AXによる核染色によりETO刺激群にDNA損傷が確認された。DNA損傷が確認された刺激群では細胞老化のマーカーであるSAβGal染色で核周囲の細胞質に陽性所見が認められた。この結果から、ETO刺激でDNA損傷誘発性細胞老化が誘導されたと考える。LC3B染色では、コントロール群においては細胞質内に明らかな陽性所見は見られなかったが刺激群ではLC3Ⅱ陽性オートファゴソームが多数確認された。CQ混合投与細胞ではオートリソソーム形成障害によりETO単独で刺激した細胞よりも細胞質内にオートファゴソームのうっ滞を多く認めた。以上の結果よりETO刺激によりオートファジーが誘導されることが示された。また、ETOとCQを混合投与した細胞ではETO単独で刺激した細胞よりも、SAβGal染色陽性率が上昇した。この所見はCQによりオートファジー活性阻害が亢進し細胞内に老廃物が蓄積したため細胞老化が亢進したと推測される。
 以上の結果からDNA損傷誘導性細胞老化にはオートファジーの活性が関与することが示唆された。
(COI開示:なし)