The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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実態調査

[P一般-049] 要介護高齢者施設における経口維持支援に関する実態調査

○大平 真理子1,2、髙市 真之2、田坂 彰規1、髙松 ユミ2、髙根 宏3、山下 秀一郎1 (1. 東京歯科大学 パーシャルデンチャー補綴学講座、2. 髙根病院 歯科、3. 髙病院 外科)

【目的】
 2015年の介護報酬改定により、摂食嚥下障害を有する高齢者施設入所者の経口維持支援充実の観点から、経口維持加算として多職種協働での食事の観察(ミールラウンド)やカンファレンスの実施が評価されることになった。

 髙根病院歯科では、2015年から高齢者施設での経口維持支援の取り組みに参加している。参加者は歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士、看護師、管理栄養士、介護士によって構成され、カンファレスを月1~2回実施している。

 本研究では、高齢者施設における経口維持支援の現状を把握するために、施設からの依頼内容および対応結果を集計することとした。

【方法】

 千葉県内の特別養護老人ホーム(2施設)および介護老人保健施設(1施設)に入所中で、2015年7月から2020年12月までの間に経口維持加算を算定した要介護高齢者のうち、データ欠損のない40名(男性9名、女性31名、平均年齢84.6歳)を研究対象とした。対象者は、あらかじめ看護師、介護士、管理栄養士による食事場面の観察(スクリーニング)により摂食嚥下機能の低下が疑われ、歯科医師による評価依頼があった者である。調査内容は、主傷病名、スクリーニング時の問題点、カンファレンス後の対応方法である(複数回答を含む)。

【結果と考察】

 対象者の主傷病名は、脳血管疾患(21名)、認知症(16名)、誤嚥性肺炎(10名)、神経筋疾患(2名)等であった。

 スクリーニング時の問題点は、「食事中にむせる」が最も多く(18名)、ついで「食形態や水分形態が適切か気になる」(16名)、「早食べである」(6名)等であった。また「気になる所見はないが不安である」(5名)も認められた。

 評価後の対応方法は、「介助方法の指導」(19名)、「食形態や水分形態の変更」(18名)、「姿勢の調整」(10名)、「現在の食形態や介助方法を継続」(3名)等であった。「食形態や水分形態が適切か気になる」対象者(16名)のうち、2名は食形態を上げ、7名は水分もしくは食形態を下げる必要があった。「気になる所見はないが不安である」とされた5名のうち4名は水分もしくは食形態を下げる判断となった。

 以上から、今回の調査対象とした施設において、良好なスクリーニングが行われ、入所者に必要な経口維持のための介入が行われていることが示唆された。

(COI開示:なし)

(高根病院倫理委員会承認番号:21-1)