The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(ポスター)

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実態調査

[P一般-054] 回復期リハビリテーション病院における入院時歯科検診の役割

○髙木 幸子1、竹田 智帆1,2、吉田 光由1,2、津賀 一弘1 (1. 広島市立リハビリテーション病院 歯科、2. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学)

【目的】

全国の回復期リハビリテーション病院のうち、歯科を併設し、常勤歯科医師が勤務している病院は少ない。当院は主に脳血管障害患者を対象とする100床の回復期リハビリテーション病院で、1名の常勤歯科医師が勤務し、リハビリテーションの相乗効果を求めるため、入院時には歯科検診を施行している。また、1名の常勤歯科衛生士は診療介助のほかに、病棟での定期的なサロン活動など、口腔健康管理に関する教育にも努めている。これらの活動により、病院全体に歯科の役割が浸透できたと考え、これを検証するため、昨年度の入院時歯科検診の受診率、歯科的ニーズの割合を調査した。

【方法】

研究対象者は2019年4月~2020年3月までに当院へ入院した患者415名とし、歯科検診に応じ治療を受けた群(A群)、検診に応じたが治療をしなかった群(B群)、検診に応じなかった群(C群)とした。A群のうち、義歯ニーズ(義歯の新規製作・義歯修理・義歯調整の件数)、抜歯ニーズ(抜歯歯数・患者数)、歯周ケアニーズ(歯周検査算定数)、う蝕処置ニーズ(う蝕処置歯数)、口内炎(口内炎患者数)、摂食嚥下ニーズ(嚥下造影(VF)検査数・患者数)などをレセプトより抽出し、回復期においての歯科ニーズを検討した。

【結果と考察】

男性の平均年齢は61.9歳、女性の平均年齢は71.3歳。A群は324名、B群は62名、C群は29名との結果だった。A群の各ニーズはそれぞれ、義歯ニーズ(義歯新製38名・義歯修理53件・義歯調整134名)、抜歯ニーズ(抜歯歯数261本・84名)、歯周ケアニーズ291名、う蝕処置ニーズ186本、口内炎14名、摂食嚥下ニーズ(VF248件・140名)だった。歯周ケアニーズが一番多いものの、抜歯歯数も多く、口腔環境整備に努めた結果とも言える。一方B群とC群の患者のうち、検診をして問題点が多くあるにも拘らず、歯科治療が拒否されたケースもあり、高次脳機能障害もその一因と思われた。これらの結果、入院時歯科検診の役割が明らかとなり、急性期と維持期を切れ間のない連携でつなぐためにも、回復期における歯科ニーズは多く存在し、回復期リハビリテーション病院での歯科を併設する重要性を示唆できた。

(COI開示なし)