[P一般-034] 療養型病床施設における骨吸収抑制薬投与患者と薬剤関連顎骨壊死の関連について
【目的】
療養型病床施設における骨吸収抑制薬投与患者(以下,患者)について,歯科介入による口腔環境の変化と薬剤関連顎骨壊死(以下,MRONJ)発生の有無,患者の口腔内状態と全身疾患との関連について調査したので報告する。
【方法】
療養型病床施設において,2016年4月から2020年4月までの4年間に骨吸収抑制薬による治療を受けた56名のうち,歯科介入の同意が得られ,介入を継続した40名(男性4名,女性36名,歯科初診時平均年齢86±7歳)を対象とした。口腔内状態は,OHAT‐Jを用いて歯科初診時とリコール移行時または退所時の値を比較した。MRONJ発生の有無は,診療録および歯科衛生士記録を元に集計した。患者の口腔内状態および全身疾患のうち,歯周病や糖尿病などのMRONJのリスク因子の割合を調査した。
【結果と考察】
OHAT‐Jは,歯科介入前後で低下した者が17名(42.5%),変化のない者が13名(32.5%),上昇した者が10名(25%)であり,調査期間中にMRONJの発生は認められなかった。口腔内にリスク因子を認めた者は29名(72.5%),全身性のリスク因子を認めた者は16名(40%),どちらのリスク因子も認めた者は13名(32.5%)であった。OHAT‐Jにおいて,低下または変化のない者が多く認められ,MRONJの発生を認めなかったことから,歯科介入の継続により,MRONJの発生の抑制に貢献している可能性が示唆された。値が上昇した理由は,全身状態の悪化に伴う口腔環境の悪化や義歯の不適合が考えられた。MRONJの口腔内リスク因子を有する者が高い割合で存在したことから,患者への歯科治療は,そのリスクを踏まえた治療計画を立案し,口腔内および全身状態に応じて介入頻度を選択すること,口腔環境が整備されているか定期的に評価することが重要であろう。全身疾患との関連もあることから,医科と歯科が連携を図りながら実施することが望ましい。
本発表演題に関して開示すべき利益相反はありません。
(医療法人ピーアイエー倫理委員会 承認番号 D-第23号)
療養型病床施設における骨吸収抑制薬投与患者(以下,患者)について,歯科介入による口腔環境の変化と薬剤関連顎骨壊死(以下,MRONJ)発生の有無,患者の口腔内状態と全身疾患との関連について調査したので報告する。
【方法】
療養型病床施設において,2016年4月から2020年4月までの4年間に骨吸収抑制薬による治療を受けた56名のうち,歯科介入の同意が得られ,介入を継続した40名(男性4名,女性36名,歯科初診時平均年齢86±7歳)を対象とした。口腔内状態は,OHAT‐Jを用いて歯科初診時とリコール移行時または退所時の値を比較した。MRONJ発生の有無は,診療録および歯科衛生士記録を元に集計した。患者の口腔内状態および全身疾患のうち,歯周病や糖尿病などのMRONJのリスク因子の割合を調査した。
【結果と考察】
OHAT‐Jは,歯科介入前後で低下した者が17名(42.5%),変化のない者が13名(32.5%),上昇した者が10名(25%)であり,調査期間中にMRONJの発生は認められなかった。口腔内にリスク因子を認めた者は29名(72.5%),全身性のリスク因子を認めた者は16名(40%),どちらのリスク因子も認めた者は13名(32.5%)であった。OHAT‐Jにおいて,低下または変化のない者が多く認められ,MRONJの発生を認めなかったことから,歯科介入の継続により,MRONJの発生の抑制に貢献している可能性が示唆された。値が上昇した理由は,全身状態の悪化に伴う口腔環境の悪化や義歯の不適合が考えられた。MRONJの口腔内リスク因子を有する者が高い割合で存在したことから,患者への歯科治療は,そのリスクを踏まえた治療計画を立案し,口腔内および全身状態に応じて介入頻度を選択すること,口腔環境が整備されているか定期的に評価することが重要であろう。全身疾患との関連もあることから,医科と歯科が連携を図りながら実施することが望ましい。
本発表演題に関して開示すべき利益相反はありません。
(医療法人ピーアイエー倫理委員会 承認番号 D-第23号)