The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

優秀ポスター

Live配信抄録 » 優秀ポスター

地域歯科医療部門

Sat. Jun 12, 2021 10:10 AM - 11:10 AM Line B (ライブ配信)

[優秀P地域-05] 地域の歯科医院においてCOVID-19流行により来院を自粛した高齢者の口腔機能の変化

○樋山 めぐみ1、村田 尚道1、岡本 佳明1 (1. 医療法人社団湧泉会ひまわり歯科)

【目的】
地域の歯科医院において口腔機能低下症の改善と予防を目的とした毎月の集団指導(以下,フレイル予防教室)に通っていた患者がCOVID-19流行予防のため約3ヶ月の中断をした後の全身状態と口腔機能の変化について調査したので報告する.

【対象および方法】
2020年1月〜8月のフレイル予防教室参加者35名(男性10名平均76.2歳,女性25名平均74.8歳)の全身状態(BMI,握力等)と口腔機能(口腔乾燥,口腔清潔度,舌圧,オーラルディアドコキネシス,咬合力,EAT-10)の検査結果を比較検討した.

フレイル予防教室の内容:フレイルについての研修会,身体・体力測定,口腔機能低下症検査,専門職による栄養相談・問診・家庭でのリハビリ指導


【結果と考察】

フレイル予防教室を約3ヶ月の中断をした後の舌圧,オーラルディアドコキネシスは低下したものが多かった.また,参加者の意欲についても,感染症への漠然とした不安から閉じこもりがちになったり,認知機能の低下がうかがわれる者もいた.
2018年の当院での調査では,フレイル予防教室参加者の舌圧は2ヶ月後から,口腔乾燥は3ヶ月後以降,オーラルディアドコキネシスはka/が2ヶ月後,ta/が3ヶ月後に有意に改善が認められた.さらに脂肪量の指標TSF値が2ヶ月後に有意に増加したことから,フレイル予防教室参加が口腔機能および栄養状態の改善につながることが示唆された.フレイル予防教室に参加することは,外出の機会が増えて運動になり(身体的フレイル予防),集団指導の場で他の参加者との交流が生まれ(精神的・社会的フレイル予防),フレイル予防になるのではないかと考えられる.

感染症の流行予防のためフレイル予防教室を中断することで進行してしまうフレイルのリスクと,感染症のリスクを両方回避できるような新たなフレイル予防教室の形が求められている.

医療法人社団湧泉会ひまわり歯科倫理委員会承認番号第2020002N号