[優秀P衛生-03] 地域在住高齢者における舌圧低下に関連する因子の検討:2年間の縦断研究
【目的】
舌圧は客観的な口腔機能の評価指標であり, 口腔機能低下症の評価項目の一つになっている。舌圧の低下は摂食嚥下障害, 低栄養につながるとの報告があるが, 地域在住高齢者の舌圧低下と全身状態・生活機能との関連については、あまり検討されていない。そこで本研究では, 地域在住高齢者の2年間の縦断データを用いて, 舌圧低下の関連因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2016年に東京都I区で実施した来場型健診を受診した70歳以上の地域在住高齢者のうち, 舌圧が口腔機能低下症の基準値30kPa以上であり, 2年後(2018年)の追跡調査に参加した357名(男性:161名, 女性:197名, 平均年齢76.4歳)を分析対象とした。2018年の測定時に舌圧が30kPa未満に低下した場合を舌圧低下と定義した。現在歯数, 機能歯数, 咬合力, オーラルディアドコキネシス, 咀嚼能力, 年齢, 性別, 体組成, 握力, 歩行速度, 社会経済状況, 飲酒・喫煙状況, 居住状況, 社会的孤立, 食欲, 全身疾患, 多剤服用, うつ傾向, 認知機能のうち, 舌圧低下と関連する因子についてロジスティック回帰分析を用いて探索した。
【結果と考察】
2年後の追跡調査で舌圧低下を認めたのは16.8%(60名)であった。ロジスティック回帰分析の結果, 舌圧低下と有意に関連していた因子は, 無歯顎(OR=10.7, 95%CI=2.7–42.3), 低骨格筋量 (Skeletal Muscle Mass Index:男性7.0㎏/m2未満, 女性5.7㎏/m2未満)(OR=2.1, 95%CI=1.1–4.0), 認知機能低下(日本版Mini-Mental State Examination 23点以下)(OR=4.2, 95%CI=1.3–13.3), 食欲低下(Council on Nutrition Appetite Questionnaire 28点以下)(OR=2.1, 95%CI=1.0–4.1)であった。
本研究結果から, 舌圧の低下には口腔の状態のみではなく, 筋肉量, 認知機能や食欲が関連していることが示された。
(東京都健康長寿医療センター研究部門倫理審査委員番号:迅33.H28-31)
舌圧は客観的な口腔機能の評価指標であり, 口腔機能低下症の評価項目の一つになっている。舌圧の低下は摂食嚥下障害, 低栄養につながるとの報告があるが, 地域在住高齢者の舌圧低下と全身状態・生活機能との関連については、あまり検討されていない。そこで本研究では, 地域在住高齢者の2年間の縦断データを用いて, 舌圧低下の関連因子を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2016年に東京都I区で実施した来場型健診を受診した70歳以上の地域在住高齢者のうち, 舌圧が口腔機能低下症の基準値30kPa以上であり, 2年後(2018年)の追跡調査に参加した357名(男性:161名, 女性:197名, 平均年齢76.4歳)を分析対象とした。2018年の測定時に舌圧が30kPa未満に低下した場合を舌圧低下と定義した。現在歯数, 機能歯数, 咬合力, オーラルディアドコキネシス, 咀嚼能力, 年齢, 性別, 体組成, 握力, 歩行速度, 社会経済状況, 飲酒・喫煙状況, 居住状況, 社会的孤立, 食欲, 全身疾患, 多剤服用, うつ傾向, 認知機能のうち, 舌圧低下と関連する因子についてロジスティック回帰分析を用いて探索した。
【結果と考察】
2年後の追跡調査で舌圧低下を認めたのは16.8%(60名)であった。ロジスティック回帰分析の結果, 舌圧低下と有意に関連していた因子は, 無歯顎(OR=10.7, 95%CI=2.7–42.3), 低骨格筋量 (Skeletal Muscle Mass Index:男性7.0㎏/m2未満, 女性5.7㎏/m2未満)(OR=2.1, 95%CI=1.1–4.0), 認知機能低下(日本版Mini-Mental State Examination 23点以下)(OR=4.2, 95%CI=1.3–13.3), 食欲低下(Council on Nutrition Appetite Questionnaire 28点以下)(OR=2.1, 95%CI=1.0–4.1)であった。
本研究結果から, 舌圧の低下には口腔の状態のみではなく, 筋肉量, 認知機能や食欲が関連していることが示された。
(東京都健康長寿医療センター研究部門倫理審査委員番号:迅33.H28-31)