[課題1-2] 看取り期における在宅がん患者に対する地域連携による口腔健康管理
【目的】
在宅療養が推奨される中,看取りの場として在宅が注目されている。しかし,在宅における看取り期の口腔健康管理にはいまだ課題が多い。そこで本報告では当クリニックで実施している地域連携に基づく多職種連携による口腔健康管理を通じて課題を検討する。
【対象】
2019年3月から2020年12月までの間に在宅において口腔健康管理を開始した終末期がん患者33名(男性23名、女性10名),年齢51歳から91歳である。肺がん6例,前立腺がん4例,脳腫瘍2例など,原疾患は多岐にわたった。このうち抄録登録時点で25名の者が死亡した。
【症例】
症例1 57歳,女性。初診5年前脳腫瘍のため手術および放射線療法が実施された。初診年,積極的な治療は終了し,在宅診療開始と同時に口腔健康管理を開始した。在宅療養ののち,てんかん発作を繰り返したためホスピスに入院,さらにその後,在宅療養に切り替えられた。療養の場の変更に伴い,支援者が変化したが,セルフケアの状況,家族の介護負担度も考慮し,関連職種と連携を行い,口腔健康管理を行った。初診1年10か月後,自宅にて逝去した。
症例2 75歳,女性。初診5年前乳癌の診断により,手術,化学療法を施行された。骨吸収抑制薬関連顎骨壊死が認められ,当クリニックに依頼があった。創部からの排膿,口臭が強く認められた。訪問看護師と共に口腔健康管理を施行し,訪問開始2か月後に自宅にて逝去した。医師の死亡確認に立ち会うとともに,死後のケアを行った。
【結果と考察】
多職種間において,訪問時の患者の状態,診療や看護・介護の内容,患者家族の困りごとや心情の変化などをオンラインによる連携ツールを用い逐次行った。また,週1回カンファレンスをオンラインにて行った。多職種,多事業所との地域連携を実践することで,日々患者を取り巻く状況の変化を把握し,迅速に対応しながら口腔健康管理計画を作成し実践した。管理計画においては,患者の状態のほか,多職種の関与の状態や患者家族の介護負担度などを考慮し介入頻度や内容を検討した。しかし,介入のタイミングや頻度の検討に課題を残した。また,口腔衛生管理の必要性が評価されても介入できない症例もあり,今後の課題となった。
本研究は日本歯科大学生命歯学部倫理委員会の承認を得て行われた。(NDU-T2020-07)
在宅療養が推奨される中,看取りの場として在宅が注目されている。しかし,在宅における看取り期の口腔健康管理にはいまだ課題が多い。そこで本報告では当クリニックで実施している地域連携に基づく多職種連携による口腔健康管理を通じて課題を検討する。
【対象】
2019年3月から2020年12月までの間に在宅において口腔健康管理を開始した終末期がん患者33名(男性23名、女性10名),年齢51歳から91歳である。肺がん6例,前立腺がん4例,脳腫瘍2例など,原疾患は多岐にわたった。このうち抄録登録時点で25名の者が死亡した。
【症例】
症例1 57歳,女性。初診5年前脳腫瘍のため手術および放射線療法が実施された。初診年,積極的な治療は終了し,在宅診療開始と同時に口腔健康管理を開始した。在宅療養ののち,てんかん発作を繰り返したためホスピスに入院,さらにその後,在宅療養に切り替えられた。療養の場の変更に伴い,支援者が変化したが,セルフケアの状況,家族の介護負担度も考慮し,関連職種と連携を行い,口腔健康管理を行った。初診1年10か月後,自宅にて逝去した。
症例2 75歳,女性。初診5年前乳癌の診断により,手術,化学療法を施行された。骨吸収抑制薬関連顎骨壊死が認められ,当クリニックに依頼があった。創部からの排膿,口臭が強く認められた。訪問看護師と共に口腔健康管理を施行し,訪問開始2か月後に自宅にて逝去した。医師の死亡確認に立ち会うとともに,死後のケアを行った。
【結果と考察】
多職種間において,訪問時の患者の状態,診療や看護・介護の内容,患者家族の困りごとや心情の変化などをオンラインによる連携ツールを用い逐次行った。また,週1回カンファレンスをオンラインにて行った。多職種,多事業所との地域連携を実践することで,日々患者を取り巻く状況の変化を把握し,迅速に対応しながら口腔健康管理計画を作成し実践した。管理計画においては,患者の状態のほか,多職種の関与の状態や患者家族の介護負担度などを考慮し介入頻度や内容を検討した。しかし,介入のタイミングや頻度の検討に課題を残した。また,口腔衛生管理の必要性が評価されても介入できない症例もあり,今後の課題となった。
本研究は日本歯科大学生命歯学部倫理委員会の承認を得て行われた。(NDU-T2020-07)