一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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課題口演1
地域包括ケアシステム

2021年6月13日(日) 09:00 〜 10:15 Line A (ライブ配信)

[課題1-5] 訪問診療研修にオンラインを用いた学生教育・リカレント教育の有用性

○奥村 拓真1、中根 綾子1、中川 量晴1、石井 美紀1、吉田 早織1、吉見 佳那子1、山口 浩平1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】

高齢者の地域での生活を支える地域包括ケアに訪問診療などで関わる機会が増え、その仕組みや在り方を深く理解することは重要である。しかし、訪問診療の教育は全国的にまだ十分ではないうえ、昨今の社会情勢の変化にともない訪問診療などの臨床の現場での学生教育・リカレント教育が困難になっている。情報通信技術を用いた教育や診療は注目されており、我々はその有用性を報告している。当分野では摂食嚥下リハビリテーションの訪問診療にオンライン診療を既に導入している。今回そのノウハウを応用したオンラインでの訪問診療研修(以下オンライン研修)を実施し、研修後に学生およびリカレント教育対象者にアンケ―ト調査を行ったのでその概要を報告する。

【方法】

2020年8月から2021年6月にかけて当分野で行われたオンライン研修に参加した学生・歯科医師・歯科衛生士、計33名にアンケート調査を行った。オンライン研修は、大学側に参加者と説明を担う歯科医師、訪問先に診療を行う歯科医師とオンラインに対応する歯科医師を配置し、実際の診療を通信機器に映像としてつなぎ訪問診療に双方向的に参加するものである。なお患者および施設には事前にオンライン研修を行うことに同意を得て実施している。アンケートは診療研修に関する学習意識を確認する質問を設定し、それぞれ学べた・やや学べた・あまり学べなかった・学べなかったの4段間評価と自由筆記の項目を設け、回答させた。調査結果と調査対象者の連結不可能または個人が特定できないデータであること

【結果と考察】

参加者は学生が23名、リカレント教育の対象者が12名であった。摂食嚥下リハビリテーションの学習に関する質問は8割以上がオンライン研修で「学べた」の選択肢を選んでいた。「食事観察、嚥下内視鏡検査、自宅で過ごしている様子がよく学べた」という記載があり、オンライン研修は実際にその場に臨んだ診療にかなり近いものであった。以上より、オンライン研修は現在の社会情勢に適応し、かつ地域在住高齢者の生活状況や地域における歯科医療を理解し、効果的に学習できることが明らかとなった。これまで当分野では講義、ロールプレイ実習、グループワークを履修した後に、実際に訪問診療に同行させる教育形式を採用していた。オンライン研修は訪問診療に同行させる見学研修に替わる新たな教育形式として有用性が高いかもしれない。