[課題2-1] 口腔機能低下症に対する継続的な口腔機能管理の効果
【目的】
フレイル・要介護の原因となる口腔機能低下症に対する口腔機能管理は、外来で実施できるオーラルフレイル対策として重要である。口腔機能低下症は、7項目の口腔機能検査により診断し、個別の口腔機能低下に応じた管理を行い、6か月毎に再検査を行うことが推奨されている。しかし、口腔機能管理の効果や管理の在り方については十分な科学的根拠はない。そこで本研究では、口腔機能低下症と診断された患者を対象とした縦断調査を行い、特に、歯科外来での口腔機能管理が与える効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】
研究参加者は、口腔機能低下を訴えて口腔機能低下症の検査を受けた患者のうち、約6ヶ月後に再検査を受けた68名とした。初回の検査で、3項目以上該当した者を口腔機能低下症群(低下群)、2項目以下の者を口腔機能低下予備群(予備群)とした。低下群に対しては標準的な口腔機能管理を毎月実施し、予備群は初回検査時に低下していた項目について指導を行い、両群ともに約6か月後に再検査を行った。統計学的手法はWilcoxonの符号付き順位検定、U検定、二元配置分散分析とし、有意水準は5%とした。
【結果と考察】
低下群(42名、平均年齢78.6歳)と予備群(26名、平均年齢78.2歳)の間に有意な年齢差は認めず、初回検査の平均該当項目数は低下群3.7、予備群1.5であり、すべての検査値が低下群で悪化していた。再検査では、低下群で舌口唇運動機能(/pa/と/ta/)と咀嚼機能が有意に向上した。一方、予備群では口腔不潔と口腔乾燥が有意に悪化し、舌口唇運動機能も低下する傾向を認めた。また、低下群と予備群では、舌口唇運動機能(/pa/と/ta/)の経時的変化が有意に異なっていた。
オーラルフレイルでは、口腔機能低下を自分事として捉え、自ら口腔機能向上に取り組むことが肝要である。低下群では口腔機能管理を定期的に行うため、患者の動機づけを保ちやすい。特に、舌口唇運動機能は患者が取り組みやすく、短期間での変化が生じた可能性が考えられた。また、本研究の限界はあるが、舌口唇運動機能の向上が間接的に咀嚼機能向上へと通じた可能性も示唆された。一方、予備群では再検査で複数の項目が低下傾向を示しており、口腔機能低下症と診断されなくても、管理を継続的に行う必要性が示唆された。(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会承認:DH2018-032)
フレイル・要介護の原因となる口腔機能低下症に対する口腔機能管理は、外来で実施できるオーラルフレイル対策として重要である。口腔機能低下症は、7項目の口腔機能検査により診断し、個別の口腔機能低下に応じた管理を行い、6か月毎に再検査を行うことが推奨されている。しかし、口腔機能管理の効果や管理の在り方については十分な科学的根拠はない。そこで本研究では、口腔機能低下症と診断された患者を対象とした縦断調査を行い、特に、歯科外来での口腔機能管理が与える効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】
研究参加者は、口腔機能低下を訴えて口腔機能低下症の検査を受けた患者のうち、約6ヶ月後に再検査を受けた68名とした。初回の検査で、3項目以上該当した者を口腔機能低下症群(低下群)、2項目以下の者を口腔機能低下予備群(予備群)とした。低下群に対しては標準的な口腔機能管理を毎月実施し、予備群は初回検査時に低下していた項目について指導を行い、両群ともに約6か月後に再検査を行った。統計学的手法はWilcoxonの符号付き順位検定、U検定、二元配置分散分析とし、有意水準は5%とした。
【結果と考察】
低下群(42名、平均年齢78.6歳)と予備群(26名、平均年齢78.2歳)の間に有意な年齢差は認めず、初回検査の平均該当項目数は低下群3.7、予備群1.5であり、すべての検査値が低下群で悪化していた。再検査では、低下群で舌口唇運動機能(/pa/と/ta/)と咀嚼機能が有意に向上した。一方、予備群では口腔不潔と口腔乾燥が有意に悪化し、舌口唇運動機能も低下する傾向を認めた。また、低下群と予備群では、舌口唇運動機能(/pa/と/ta/)の経時的変化が有意に異なっていた。
オーラルフレイルでは、口腔機能低下を自分事として捉え、自ら口腔機能向上に取り組むことが肝要である。低下群では口腔機能管理を定期的に行うため、患者の動機づけを保ちやすい。特に、舌口唇運動機能は患者が取り組みやすく、短期間での変化が生じた可能性が考えられた。また、本研究の限界はあるが、舌口唇運動機能の向上が間接的に咀嚼機能向上へと通じた可能性も示唆された。一方、予備群では再検査で複数の項目が低下傾向を示しており、口腔機能低下症と診断されなくても、管理を継続的に行う必要性が示唆された。(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会承認:DH2018-032)