[O1-2] 高齢フィットネスクラブ会員の身体機能と口腔機能の評価
【目的】
65歳以上のフィットネスクラブ(FC)会員の身体的フレイルとオーラルフレイルの関連を明らかにする。
【方法】
調査対象は西日本のA市とB市にある同系列FCの65歳以上会員とした。A市では無作為抽出した300名,B市では全会員297名に対して郵送による質問紙調査を行った。回答の得られた278名(回答率46.5%)に対して理学療法士による身体機能評価と歯科衛生士による口腔機能評価への参加を依頼した。同意が得られた対象者は89名(A市53名,B市36名)であった。対象者のうち前期高齢者は57.2%,後期高齢者は41.0%,無回答1.8%であった。男女数はほぼ同数であった。介護保険認定者は前期高齢者1.3%,後期高齢者5.4%で,全員が要支援1であった。
【結果と考察】
基本チェックリストによる判定では認知機能低下は41.8%,口腔機能低下は18.0%,運動機能低下は12.1%であった。身体機能の基準値を下回った者は握力2.3%,指輪っかテスト23.9%,開眼片足立ち9.1%であった。歩行速度,CS5,TUGは全員が基準値を満たしていた。J-CHS基準によるフレイル評価ではプレフレイルが22.6%であった。質問紙による簡易フレイル評価ではフレイル5.7%,プレフレイル58.3%であり,Shimadaらの報告(2015)による地域高齢者のプレフレイルとフレイル割合とほぼ同じであった。FCに通い始めた動機は「健康維持」が75.9%であったことから,病気の改善や体力維持の必要性を感じたためと思われる。
口腔機能評価では,歯数が20歯未満は15.9%,咀嚼機能低下(グミゼリー評価法)は10.6%,嚥下機能低下(RSST)は14.8%,舌口唇運動機能低下(オーラルディアドコキネシス)は62.1%であった。伊興田らの報告(2019)と比較して咀嚼機能低下はほぼ同じであったが,舌口唇運動機能低下は3.8倍であった。
本調査では筋力や筋肉量が少ない者がいたが,歩行などの動的な身体機能の基準値を満たしていたことから,FC通いは身体的フレイルに予防効果があるものと思われる。しかし,口腔機能低下の割合が高かったことから,口腔機能向上プログラムが別途必要と考えられる。
(COI開示:なし)
(大阪府立大学人間社会システム科学研究科倫理審査委員会 承認番号:2019(1)-14)
65歳以上のフィットネスクラブ(FC)会員の身体的フレイルとオーラルフレイルの関連を明らかにする。
【方法】
調査対象は西日本のA市とB市にある同系列FCの65歳以上会員とした。A市では無作為抽出した300名,B市では全会員297名に対して郵送による質問紙調査を行った。回答の得られた278名(回答率46.5%)に対して理学療法士による身体機能評価と歯科衛生士による口腔機能評価への参加を依頼した。同意が得られた対象者は89名(A市53名,B市36名)であった。対象者のうち前期高齢者は57.2%,後期高齢者は41.0%,無回答1.8%であった。男女数はほぼ同数であった。介護保険認定者は前期高齢者1.3%,後期高齢者5.4%で,全員が要支援1であった。
【結果と考察】
基本チェックリストによる判定では認知機能低下は41.8%,口腔機能低下は18.0%,運動機能低下は12.1%であった。身体機能の基準値を下回った者は握力2.3%,指輪っかテスト23.9%,開眼片足立ち9.1%であった。歩行速度,CS5,TUGは全員が基準値を満たしていた。J-CHS基準によるフレイル評価ではプレフレイルが22.6%であった。質問紙による簡易フレイル評価ではフレイル5.7%,プレフレイル58.3%であり,Shimadaらの報告(2015)による地域高齢者のプレフレイルとフレイル割合とほぼ同じであった。FCに通い始めた動機は「健康維持」が75.9%であったことから,病気の改善や体力維持の必要性を感じたためと思われる。
口腔機能評価では,歯数が20歯未満は15.9%,咀嚼機能低下(グミゼリー評価法)は10.6%,嚥下機能低下(RSST)は14.8%,舌口唇運動機能低下(オーラルディアドコキネシス)は62.1%であった。伊興田らの報告(2019)と比較して咀嚼機能低下はほぼ同じであったが,舌口唇運動機能低下は3.8倍であった。
本調査では筋力や筋肉量が少ない者がいたが,歩行などの動的な身体機能の基準値を満たしていたことから,FC通いは身体的フレイルに予防効果があるものと思われる。しかし,口腔機能低下の割合が高かったことから,口腔機能向上プログラムが別途必要と考えられる。
(COI開示:なし)
(大阪府立大学人間社会システム科学研究科倫理審査委員会 承認番号:2019(1)-14)