The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演)

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一般口演3
加齢変化・基礎研究、全身管理・全身疾患、実態調査

Sun. Jun 13, 2021 9:50 AM - 10:50 AM Line B (ライブ配信)

座長:貴島 真佐子(わかくさ竜間リハビリテーション病院)、片倉 朗(東京歯科大学 口腔病態外科学講座)

[O3-3] アルツハイマー病モデルマウスの三叉神経中脳路核神経細胞におけるアミロイドβの局在と加齢変化について

○後藤 哲哉1 (1. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯科機能形態学分野)

【目的】

 アルツハイマー病(AD)の発症において加齢は最大のリスクファクターであるが、ADにおける神経細胞の加齢とアミロイドβ(Aβ)の発現との相関は未だ明確ではない。三叉神経中脳路核(Vmes)神経細胞は認知機能や咀嚼機能との関わりが報告されているが、他の神経細胞より強くAβが発現するという組織学的特徴に着目し、ADモデルマウスのVmes神経細胞内Aβの局在を経時的に調べることでADと関連した神経細胞の加齢変化を明らかにすることを目的とした。

【方法】

 本研究は鹿児島大学動物実験委員会の承認を得て実施した(承認番号:D20007)。2〜8ヶ月齢3xTg-ADマウスを用い麻酔、ホルマリン固定後凍結切片を作成した。Aβ、Aβオリゴマー、小胞体のマーカーであるHeme oxygenase(HO)-1に対する抗体を用い免疫染色を行なった。加齢の指標としては自家蛍光を発するlipofuscinの発現を用いた。

【結果と考察】

 Lipofuscinを加齢の指標とした時に、Vmes神経細胞内のlipofuscinは2から8ヶ月齢にかけて経時的に増加した。Aβは形質膜ではなく細胞内の、小胞体膜、隔離膜、オートファゴゾーム膜に観察され、HO-1陽性であったことから、これら細胞内のAβ陽性の膜はオートファゴゾーム関連膜であることが示唆された。細胞毒性を持つAβオリゴマーは、AD進行に重要な分子であるが、Aβオリゴマーの局在を調べたところ、比較的若い月齢のVmes神経細胞内でも認められ、細胞内でAβ陽性のオートファゴゾームに囲まれている像が認められた。これらの結果より、Vmes神経細胞のAβは形質膜ではなくオートファゴソーム様膜に局在し、加齢と共にAβ陽性オートファゴソーム様膜が数・サイズともに増加するとともに、細胞内のAβオリゴマーの処理に関わっていることが示唆された。(COI開示:なし)。