[O3-6] 地域一般住民における歯科定期受診とアテローム性動脈硬化との関連:大迫研究
[目的]
アテローム性動脈硬化は脳心血管疾患発症の重大なリスク因子である.先行研究より歯周疾患や咀嚼能力といった口腔保健指標は動脈硬化性疾患と関連することが示されている.一方,良好な歯科保健行動を反映する歯科定期受診も,歯周疾患や咀嚼機能などの適切な維持・管理が効果として期待されることから,それらを通じてアテローム性動脈硬化と関連することが予想される.本研究の目的は,地域在住の一般住民を対象として,歯科定期受診の有無とアテローム性動脈硬化との関連を横断的に検討することである.
[方法]
本研究は,岩手県花巻市大迫町在住の一般住民を対象とした大迫研究のデータを用いた. 2005年度から2016年度までの研究参加者のうち,無歯顎者,アテローム性動脈硬化指標および口腔保健指標に関するデータ欠損者を除外した602名(男性227名,平均年齢;66.0±7.3歳)を解析対象とした.超音波診断装置(Toshiba Sonolayer SSA-250A:東芝)を用いた頸動脈エコー検査を実施しIntima-media thickness(IMT)の最大値(max IMT)が1.1mm以上または頸動脈プラークを認めたものを動脈硬化ありと定義した.歯科定期受診の有無は質問票調査にて評価した. 解析はロジスティック回帰分析を用い,両者の関連におけるオッズ比(95%信頼区間)を算出した.共変量は年齢,性別,疾患既往歴(脳卒中,虚血性心疾患,高血圧,糖尿病,高脂血症),喫煙,飲酒,教育歴とした.
[結果と考察]
解析対象者602名のうち, 歯科定期受診者は100名,アテローム性動脈硬化を認めた者は117名であった.全ての共変量を調整したロジスティック回帰分析の結果,歯科定期受診有りに対する定期受診なしのアテローム性動脈硬化を有するオッズ比は有意に高値を示した(オッズ比, 2.08;95%信頼区間,1.003-4.29).本研究により歯科定期受診とアテローム性動脈硬化との関連が横断的に明らかになった.アテローム性動脈硬化に対する歯科定期受診の意義を明らかにするためにも,縦断的な検討に加えて,両者を繋ぐ機序に関する検討が望まれる.
(COI開示:なし)
(東北大学 倫理審査委員会承認番号 2019-4-067)
アテローム性動脈硬化は脳心血管疾患発症の重大なリスク因子である.先行研究より歯周疾患や咀嚼能力といった口腔保健指標は動脈硬化性疾患と関連することが示されている.一方,良好な歯科保健行動を反映する歯科定期受診も,歯周疾患や咀嚼機能などの適切な維持・管理が効果として期待されることから,それらを通じてアテローム性動脈硬化と関連することが予想される.本研究の目的は,地域在住の一般住民を対象として,歯科定期受診の有無とアテローム性動脈硬化との関連を横断的に検討することである.
[方法]
本研究は,岩手県花巻市大迫町在住の一般住民を対象とした大迫研究のデータを用いた. 2005年度から2016年度までの研究参加者のうち,無歯顎者,アテローム性動脈硬化指標および口腔保健指標に関するデータ欠損者を除外した602名(男性227名,平均年齢;66.0±7.3歳)を解析対象とした.超音波診断装置(Toshiba Sonolayer SSA-250A:東芝)を用いた頸動脈エコー検査を実施しIntima-media thickness(IMT)の最大値(max IMT)が1.1mm以上または頸動脈プラークを認めたものを動脈硬化ありと定義した.歯科定期受診の有無は質問票調査にて評価した. 解析はロジスティック回帰分析を用い,両者の関連におけるオッズ比(95%信頼区間)を算出した.共変量は年齢,性別,疾患既往歴(脳卒中,虚血性心疾患,高血圧,糖尿病,高脂血症),喫煙,飲酒,教育歴とした.
[結果と考察]
解析対象者602名のうち, 歯科定期受診者は100名,アテローム性動脈硬化を認めた者は117名であった.全ての共変量を調整したロジスティック回帰分析の結果,歯科定期受診有りに対する定期受診なしのアテローム性動脈硬化を有するオッズ比は有意に高値を示した(オッズ比, 2.08;95%信頼区間,1.003-4.29).本研究により歯科定期受診とアテローム性動脈硬化との関連が横断的に明らかになった.アテローム性動脈硬化に対する歯科定期受診の意義を明らかにするためにも,縦断的な検討に加えて,両者を繋ぐ機序に関する検討が望まれる.
(COI開示:なし)
(東北大学 倫理審査委員会承認番号 2019-4-067)