[SY4-1] 健康長寿のために口腔機能が果たす役割
ーTOOTH研究結果からの考察ー
【略歴】
昭和62年 日本大学歯学部 卒業
平成 3年 日本大学大学院歯学研究科 修了(歯学博士)
平成 4年 日本大学 助手 歯科補綴学第Ⅰ講座
平成14年 日本大学 専任講師 歯科補綴学第Ⅰ講座
平成22年 慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター 非常勤講師(現在に至る)
平成27年 日本大学海外派遣研究員としてニューカッスル大学(英国)に派遣
平成29年 日本大学 教授 歯科補綴学第Ⅰ講座(現在に至る)
平成29年 日本大学歯学部付属歯科病院 副病院長
平成31年 日本大学歯学部付属歯科病院 病院長(現在に至る)
昭和62年 日本大学歯学部 卒業
平成 3年 日本大学大学院歯学研究科 修了(歯学博士)
平成 4年 日本大学 助手 歯科補綴学第Ⅰ講座
平成14年 日本大学 専任講師 歯科補綴学第Ⅰ講座
平成22年 慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター 非常勤講師(現在に至る)
平成27年 日本大学海外派遣研究員としてニューカッスル大学(英国)に派遣
平成29年 日本大学 教授 歯科補綴学第Ⅰ講座(現在に至る)
平成29年 日本大学歯学部付属歯科病院 副病院長
平成31年 日本大学歯学部付属歯科病院 病院長(現在に至る)
新型コロナ感染症は、いま人類にかつてないほどの恐怖と危機感をもたらしている。とくに、高齢世代は、自身が持つ身体的リスクにより、若年層に比べより大きな生命存続への危機を感じていると思われる。しかしその一方で、日本における100歳以上の高齢者は、2020年に8万人を突破し、8万450人となった。老人福祉法が制定された1963年での100歳以上の高齢者数は、全国でわずか153人だったことを考えると、50年余りの間に目覚ましい増加を示した。これには、医療技術の進歩や健康保険制度の充実など、科学的かつ経済的な下支えによる影響が大きいと考えられるが、加えて、高齢者個々の健康維持、増進に対する意識の向上も大きく貢献していると考える。なかでも、高齢者が日々の生活における運動などの習慣や、食生活を大切にしていることは、過去の疫学調査からも明らかとなっている。これらのことから、長寿が必ずしも幸せな人生に結びつくものと断言はできないが、日々の生活を大切にし、健康で長生きすることは、すべての人間が共有する願いであると言える。
このような考えから、演者らは慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターと共同で、東京在住の542人の85歳以上の超高齢者(男性:236人,女性:306人; 平均年齢±SD,87.8±2.2年; 年齢幅,85-102年)を対象に、健康に関する疫学調査(The Tokyo Oldest Old Survey on Total health: TOOTH研究)を行い、その中で、お口の機能が心と身体の健康に及ぼす影響について検討した。このTOOTH研究の特徴としては、医師、歯科医師をはじめ看護、介護、心理学、経済学及び運動生理学など多分野の研究者が学際的に組織的に行ったことが挙げられる。すなわち、それぞれの研究者が得意とする内容のみならず、多くの研究分野における専門家が緊密に連携することにより、加齢にともなう超高齢者の身体的、精神的健康状態の変化さらに、経済的な状況を総合的に調査ならびに分析を行った。なお本研究は、同一対象者に同様の調査を初期調査から3年後および6年後に行い、現在も生存確認を継続して行っている。
そこで今回のシンポジウムでは、このTOOTH研究により得られた調査結果をもとに、1.超高齢者の口腔状態の指標として残存歯数に着目して、食生活とくに栄養摂取状況を分析することにより、全身の健康との関連性を考えてみたい。また、2.超高齢者の口腔機能として、最大咬合力の大きさに着目し、これが全身の健康にどのような影響を及ぼすかについて考えてみたい。最後に、3.超高齢者にとり食生活がいかに重要かを考える目的で、食生活での満足度が心の健康にどのような影響を及ぼすかについて検討をしてみたい。
このような考えから、演者らは慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターと共同で、東京在住の542人の85歳以上の超高齢者(男性:236人,女性:306人; 平均年齢±SD,87.8±2.2年; 年齢幅,85-102年)を対象に、健康に関する疫学調査(The Tokyo Oldest Old Survey on Total health: TOOTH研究)を行い、その中で、お口の機能が心と身体の健康に及ぼす影響について検討した。このTOOTH研究の特徴としては、医師、歯科医師をはじめ看護、介護、心理学、経済学及び運動生理学など多分野の研究者が学際的に組織的に行ったことが挙げられる。すなわち、それぞれの研究者が得意とする内容のみならず、多くの研究分野における専門家が緊密に連携することにより、加齢にともなう超高齢者の身体的、精神的健康状態の変化さらに、経済的な状況を総合的に調査ならびに分析を行った。なお本研究は、同一対象者に同様の調査を初期調査から3年後および6年後に行い、現在も生存確認を継続して行っている。
そこで今回のシンポジウムでは、このTOOTH研究により得られた調査結果をもとに、1.超高齢者の口腔状態の指標として残存歯数に着目して、食生活とくに栄養摂取状況を分析することにより、全身の健康との関連性を考えてみたい。また、2.超高齢者の口腔機能として、最大咬合力の大きさに着目し、これが全身の健康にどのような影響を及ぼすかについて考えてみたい。最後に、3.超高齢者にとり食生活がいかに重要かを考える目的で、食生活での満足度が心の健康にどのような影響を及ぼすかについて検討をしてみたい。