[認定P-21] 糖尿病・脳血管障害を有する下顎高度吸収顎堤に対し義歯製作を行い、咀嚼の改善から自立支援につなげた症例
【緒言】
高度顎堤吸収により義歯が安定せず,さらに顎堤粘膜が菲薄なため疼痛が生じやすく咀嚼が困難になると偏った食事となり栄養バランスが不良になることがある.今回我々は義歯新製後,粘膜面に軟質リライン材を適用することで,咀嚼機能等の向上を得られ自立支援につながった一例を経験したので報告する.
【症例】
73歳,男性.下顎義歯使用時の顎堤疼痛による咀嚼困難で来院した.既往歴は糖尿病、高血圧、前立腺肥大、虚血性脳血管障害、肺気腫、右腎損傷で多数の薬剤を服用.2016年頃まで下顎は部分床義歯を使用していたが残存歯抜去,総義歯となり市販の義歯安定剤を用いて食事をしていた.上顎は5歯残存,下顎は無歯顎であり,高度の顎堤吸収が認められた.EichnerはC2.発表に対する同意を患者より得ている.
【経過】
歯周治療および義歯製作をおこなった. 通法による義歯製作を行ったが, 疼痛改善が十分でなかったため, ティッシュコンディショナーによる暫間的緩圧を行なった.インプラントオーバーデンチャーも含めた検討を行うも全身疾患も考慮し最終的に軟質リライン材による間接裏装を行った.咀嚼機能評価は21→98、OHIP-16は26→2とともに改善した.今後は栄養バランスが適切となる栄養指導を行っていく必要がある.
【考察】
本症例では義歯による顎堤疼痛が強かったため,炭水化物や柔らかい食事など糖尿病など悪い影響を及ぼす食事を摂取していた.インプラントの検討もあるが、全身疾患を考慮すると手術においてリスクが生じる.近年保険収載された間接法による軟質リライン材の適用により,観血的処置等の危険性もなく,比較的良好な咀嚼機能の改善を得ることができると考えられたが、まず形態・咬合に配慮した義歯製作・調整を注意深く行い,評価していった.また摂取可能な食品が増えたことはよいことだが,今後は栄養バランスの評価や指導も行い,全身疾患の悪化によるQOLの低下が生じないよう配慮する必要性がある.本症例に対して開示すべきCOIはない.また倫理審査対象外である.
高度顎堤吸収により義歯が安定せず,さらに顎堤粘膜が菲薄なため疼痛が生じやすく咀嚼が困難になると偏った食事となり栄養バランスが不良になることがある.今回我々は義歯新製後,粘膜面に軟質リライン材を適用することで,咀嚼機能等の向上を得られ自立支援につながった一例を経験したので報告する.
【症例】
73歳,男性.下顎義歯使用時の顎堤疼痛による咀嚼困難で来院した.既往歴は糖尿病、高血圧、前立腺肥大、虚血性脳血管障害、肺気腫、右腎損傷で多数の薬剤を服用.2016年頃まで下顎は部分床義歯を使用していたが残存歯抜去,総義歯となり市販の義歯安定剤を用いて食事をしていた.上顎は5歯残存,下顎は無歯顎であり,高度の顎堤吸収が認められた.EichnerはC2.発表に対する同意を患者より得ている.
【経過】
歯周治療および義歯製作をおこなった. 通法による義歯製作を行ったが, 疼痛改善が十分でなかったため, ティッシュコンディショナーによる暫間的緩圧を行なった.インプラントオーバーデンチャーも含めた検討を行うも全身疾患も考慮し最終的に軟質リライン材による間接裏装を行った.咀嚼機能評価は21→98、OHIP-16は26→2とともに改善した.今後は栄養バランスが適切となる栄養指導を行っていく必要がある.
【考察】
本症例では義歯による顎堤疼痛が強かったため,炭水化物や柔らかい食事など糖尿病など悪い影響を及ぼす食事を摂取していた.インプラントの検討もあるが、全身疾患を考慮すると手術においてリスクが生じる.近年保険収載された間接法による軟質リライン材の適用により,観血的処置等の危険性もなく,比較的良好な咀嚼機能の改善を得ることができると考えられたが、まず形態・咬合に配慮した義歯製作・調整を注意深く行い,評価していった.また摂取可能な食品が増えたことはよいことだが,今後は栄養バランスの評価や指導も行い,全身疾患の悪化によるQOLの低下が生じないよう配慮する必要性がある.本症例に対して開示すべきCOIはない.また倫理審査対象外である.