The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 10, 2022 5:00 PM - 6:00 PM 摂食P1 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[摂食審査P-01] 全身麻酔による術後に来たした嚥下機能の低下に対し多職種でリハビリテーションを行った一症例

○宮本 佳宏 (愛知学院大学歯学部高齢者・在宅歯科医療学講座)

【目的】
 今回我々は,外傷による術後に来たした嚥下機能の低下に対し多職種でリハビリテーションによる介入を行い, 嚥下機能の回復をした一例を経験したため報告する。
【症例の概要と処置】
 68 歳,男性。自転車で転倒し肋間動脈損傷及びTh9椎体骨折のため右肋間動脈塞栓術・後方椎体固定術後, 8日間気管挿管による管理を行なったのちに嚥下機能の低下をきたした。既往歴に大腸癌肝転移,前立腺肥大症, 糖尿病,心房細動があった。また、口腔状態は残根歯多数あり。⎿3動揺1度,⎾12動揺2度。口腔衛生状態不良であった。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【結果と考察】
 術後,主科から摂食嚥下チームに依頼があり,14病日に嚥下内視鏡検査(VE)実施した。姿勢は30度で喉頭侵入を認めなかったが,被裂間も含めて咽頭残留があり,摂食嚥下障害臨床的重症度分類 (DSS) は3であった。 平日昼のみ言語聴覚士(ST)にてペースト食を用いた直接訓練を開始した。歯科衛生士(DH)にて口腔ケア, 頸部リラクゼーション,舌可動域・抵抗訓練を実施した。また理学療法士(PT),作業療法士(OT)にて姿勢の保持を確実に行う目的で上下肢,腸腰筋の筋力訓練を行った。35病日に2回目のVE実施。姿勢は60度で喉頭侵入無く,咽頭残留も無く,DSSは4に改善した。そのため,朝夕も自食で全粥・粒ありペースト食を開始した。経鼻経管栄養との併用のため満腹感が強くなかなか全量摂取には至らなかったが,摂取量の増加とむせや湿性嗄声, 咽頭貯留音無く,56病日に経鼻経管栄養の抜去を行った。64病日でADLの改善に伴い急性期病棟から回復期病棟へ転棟となった。歩行訓練開始に伴い,78病日に摂取栄養量は1,350kcalから1,800kcalへ増量となった。99病日までに別の歯科医師による抜歯および歯科保存処置を行い,経過良好にて歯科のフォローは一旦中止となり,同日より食形態は常食となり,摂食状況は10割摂取で経過している。
 本症例では,初回評価時からSTによる直接訓練およびDHによる間接訓練の介入を行うことで,約1ヶ月の再評価時には嚥下機能の向上を認めた。本症例においては,多職種がそれぞれの専門性を以て適切にリハビリテー ションに取り組んだことで3食常食自己摂取まで改善することができたと考えられた。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)