The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師審査ポスター

Fri. Jun 10, 2022 5:00 PM - 6:00 PM 摂食P1 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[摂食審査P-03] Covid-19重症肺炎加療時に摂食嚥下障害を認め,摂食機能療法を実施した1例

○幸地 真人1,2 (1. 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 歯科口腔外科、2. 公立九州歯科大学附属病院 口腔リハビリテーションセンター)

【目的】Covid-19は様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こし,重症化した場合,経過が長期化し廃用萎縮,中には味覚障害を伴う等,摂食嚥下障害を生じることがある.今回Covid-19に罹患し重症肺炎の加療時に摂食嚥下障害を認め,摂食機能療法を実施した症例を経験したので報告する.なお,本報告の発表は患者より文書にて同意を得ている.
【症例の概要と処置】65歳男性,X年8月11日にCovid-19に感染し自宅療養期間中,呼吸苦および意識障害を認め8月17日当院へ救急搬送された.既往歴は糖尿病,高血圧症であった.隔離病棟に入院し酸素投与下でCovid-19に対する加療が行われていたが, 8月24日血中酸素飽和度の低下に伴い気管切開術が施行され,体外式膜型人工肺ECMO装着目的にICUへ転床となった.9月28日ECMO離脱し,経口摂取開始するもポタージュ状とろみ水で時々むせ込み認められた。栄養管理は中心静脈栄養,摂食嚥下機能評価を行い,経口摂取を進めていくこととなった.初回のVE所見では咽頭内汚染と唾液,痰の誤嚥を認め,ポタージュ状とろみ水で咽頭残留、とろみなしで誤嚥,エンゲリードで咽頭残留を認めた. 摂食機能療法は口腔期を中心に行い,味覚障害に対してアイス棒にレモンや昆布出汁を含ませ味覚刺激を心掛けた.味覚改善に伴いアイスマッサージを行う際は笑顔も認められた. また,介入時「ビールが飲みたい」との希望があり,ノンアルコールビールを摂取する日を設定し,モチベー ションの維持・向上に努めた.徐々に肺機能も改善し一般隔離病棟へ転床,VEでソフト食まで問題なく摂取出来ていたことを確認し,気管切開も離脱となった.気切離脱後はおでこ体操,発声訓練を取り入れた.隔離期間解除後は一般病棟へ転床,軟菜食まで食形態の変更を行い,11月18日自宅退院となった.
【結果と考察】
 Covid-19患者への摂食機能療法を行い,良好な経過を得た症例を経験した.ECMO離脱まで約1か月間非経口摂取であり,Covid-19の特徴である味覚障害も生じていたが,評価後は患者の状態に合わせた訓練を選択し,効果的に施行されたと考えられた.また,摂食機能療法継続へのモチベーション維持は,患者の嗜好品を訓練・評価内に取り入れ進めることで良好な結果に繋がったと考えられた. (COI開示:なし)(倫理審査対象外)