[摂食更新P-02] 干渉波刺激が有用であった1症例
【目的】
頸部干渉波刺激装置は,体表から嚥下関連神経を感覚閾値レベルで刺激し,嚥下反射閾値を低下させる事を目的に越久らが発案した手法である.今回,干渉波刺激を訓練で用い,嚥下機能が改善し常食摂取可能となった症例を経験したので報告する.
【症例の概要と処置】
40代男性.橋梗塞を発症し昏睡状態となり,気管切開(複管カフ付きスピーチカニューレ)を施行した.78病日当院入院となった.入院時,FIM認知項目は30点で表出,記憶,問題解決が低下していた.嚥下機能はRSSTが1回,喉頭挙上範囲は低下していた.食事はトロミやわらか食(嚥下調整食コード3)を摂取していた.81病日のVF時,口腔内保持不良,喉頭挙上低下,嚥下反射惹起遅延,咽頭収縮低下を認めた.嚥下反射惹起遅延があることから干渉波刺激が有効と考えられ,VF中にその効果を検討した.VFでは液体,混合物で不顕性誤嚥を認めたが干渉波刺激中の嚥下では誤嚥を認めず,DSS3であった.また,液体4cc の嚥下反射時の食塊先端位置が干渉波刺激前後で下咽頭領域から喉頭蓋谷領域へと変化していた.そこで、嚥下反射惹起遅延に対する干渉派刺激と舌骨上筋群の筋力増強練習等の練習を実施した.報告にあたり患者本人に発表の同意を得ている.
【結果と考察】
干渉波刺激は38日使用し感覚閾値は徐々に低下した.呼吸状態は安定し120病日にカニューレを抜去した.常食摂取可能となり162病日に退院した.本症例の誤嚥は嚥下中誤嚥で,口腔内保持不良,嚥下反射惹起遅延,喉頭挙上の低下による喉頭閉鎖不良の要因が考えられた.Leder(2001)らは気管切開は気道感覚閾値の上昇へ影響すると報告しており,本症例においても咽喉頭の知覚低下が疑われた.Miller(2008)らは嚥下中の感覚刺激は嚥下反射の誘発と閾値の変化を引き起こすだけでなく嚥下運動を持続して調整すると報告している.本症例は干渉波刺激の使用前後で食塊先端位置の変化を認めたことから,干渉派刺激が嚥下反射の感覚閾値を下げ,より効率的なリハビリテーションが可能となり良好な結果が得られたと考えられた.(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
頸部干渉波刺激装置は,体表から嚥下関連神経を感覚閾値レベルで刺激し,嚥下反射閾値を低下させる事を目的に越久らが発案した手法である.今回,干渉波刺激を訓練で用い,嚥下機能が改善し常食摂取可能となった症例を経験したので報告する.
【症例の概要と処置】
40代男性.橋梗塞を発症し昏睡状態となり,気管切開(複管カフ付きスピーチカニューレ)を施行した.78病日当院入院となった.入院時,FIM認知項目は30点で表出,記憶,問題解決が低下していた.嚥下機能はRSSTが1回,喉頭挙上範囲は低下していた.食事はトロミやわらか食(嚥下調整食コード3)を摂取していた.81病日のVF時,口腔内保持不良,喉頭挙上低下,嚥下反射惹起遅延,咽頭収縮低下を認めた.嚥下反射惹起遅延があることから干渉波刺激が有効と考えられ,VF中にその効果を検討した.VFでは液体,混合物で不顕性誤嚥を認めたが干渉波刺激中の嚥下では誤嚥を認めず,DSS3であった.また,液体4cc の嚥下反射時の食塊先端位置が干渉波刺激前後で下咽頭領域から喉頭蓋谷領域へと変化していた.そこで、嚥下反射惹起遅延に対する干渉派刺激と舌骨上筋群の筋力増強練習等の練習を実施した.報告にあたり患者本人に発表の同意を得ている.
【結果と考察】
干渉波刺激は38日使用し感覚閾値は徐々に低下した.呼吸状態は安定し120病日にカニューレを抜去した.常食摂取可能となり162病日に退院した.本症例の誤嚥は嚥下中誤嚥で,口腔内保持不良,嚥下反射惹起遅延,喉頭挙上の低下による喉頭閉鎖不良の要因が考えられた.Leder(2001)らは気管切開は気道感覚閾値の上昇へ影響すると報告しており,本症例においても咽喉頭の知覚低下が疑われた.Miller(2008)らは嚥下中の感覚刺激は嚥下反射の誘発と閾値の変化を引き起こすだけでなく嚥下運動を持続して調整すると報告している.本症例は干渉波刺激の使用前後で食塊先端位置の変化を認めたことから,干渉派刺激が嚥下反射の感覚閾値を下げ,より効率的なリハビリテーションが可能となり良好な結果が得られたと考えられた.(COI開示:なし)(倫理審査対象外)