一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

[摂食更新P-07] 連携病院への摂食嚥下リハビリテーション訪問診療の臨床統計

○大久保 真衣 (東京歯科大学口腔健康科学講座摂食嚥下リハビリテーション研究室)

【目的】
超高齢社会の現在,高齢者の人口が年々増加している。一方、歯科診療部門をもたない病院の医科歯科連携は急務であると考える。そこで我々は,歯科診療部門をもたない医科病院と提携し,連携病院入院患者への訪問診療を開始した。歯科医師と歯科衛生士による口腔衛生管理と摂食嚥下リハビリテーション (以下,摂食嚥下リハ) の介入を主体に,医科病院と歯科病院の医療連携を推進することを目的とした。
【方法】
調査期間は2017年5月から2018年3月までの期間に,歯科診療部門をもたない病院の40歳から92歳までの25人(男12人,女13人,平均年齢77.1±12.3歳)を対象に後ろ向きの調査を行った。 最初に医科病院所属の言語聴覚士によるスクリーニングテストを行い,その後歯科医師が訪問してVEもしくはVF検査を行った。摂食嚥下リハは医科病院における言語聴覚士,看護師さらに訪問診療時の歯科医師,歯科衛生士が行なった。訪問診療時には口腔衛生管理を行なった。初診時と最終評価時の嚥下機能をFOISに基づいて比較した。統計解析はSPSS Statistics 23.0のWilcoxon signed-rank testを用いた。
【結果と考察】
診療依頼元で最も多かったのは内科であった。主な原疾患は,悪性新生物10件(27.0%)が最も多く,次いで肺炎(8件,21.6%)であった。診療内容は延べ数で口腔衛生管理91件(58.3%)が最も多く,摂食嚥下リハではVE・VFが39件(25.0%)であった。
 FOISを用いた摂食嚥下機能は,初回評価では経管栄養を使用しているFOISレベル1,2,3は合計22名,経口栄養のみのFOISレベル4,5,6は合計3名であった。最終評価ではFOISレベル1,2,3は合計20名,FOISレベル4,5,6は合計5名であった。FOISレベルが上がったものは12名,変化なしは10名,レベルが下がったのは3名であり,初診時と最終評価時に有意差が認められた(p=0.02)。
 今後,歯科診療部門をもたない病院の医科歯科連携に適切な対応,診療が行えるように,常に知識と技術を更新しつづけることで,より安全で質の高い医療を提供し,患者の摂食嚥下機能およびQOLの向上に努める必要があると考えた。
(COI 開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会 承認番号864)