The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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摂食機能療法専門歯科医師審査/更新ポスター

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摂食機能療法専門歯科医師更新ポスター

[摂食更新P-12] 高齢者の退院支援に向けた嚥下回診を10年以上継続した活動報告

○石田 瞭 (東京歯科大学 口腔健康科学講座 摂食嚥下リハビリテーション研究室)

【はじめに】
 入院中の有病高齢者の多くは主疾患の治療だけでなく、栄養障害が課題となる。早期に経口摂取を安全に再開できることが退院支援となり、住み慣れた生活の場で自分らしい生活を続けられることにつながる。
 嚥下回診は入院患者の全身状態、栄養状態、摂食嚥下機能の評価を行い、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士など多職種のチームで実施され、その評価をもとに栄養指導や摂食嚥下訓練を行うものである。私が嚥下回診を担当するH病院での関わりも2009年から10年以上が経過した。H病院は千葉市内の高齢化率の高い地域にある、166床の一般病床と療養病床を有するケアミックス病院である。今回はH病院での嚥下回診を、関連する活動とともに報告する。
【嚥下回診の概要】
 H病院では、主治医から紹介された入院患者の摂食嚥下機能、口腔衛生、栄養状態を1週間ごとの回診で評価・ 支援している。参加職種は歯科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士をコアメンバーとし、多職種により構成している。昼食時に数名の患者を回診し、担当患者数は概算500名以上となる。
 回診初回はRSST、MWST、FTによるスクリーニング検査、VEによる機能評価をもとに今後の方針を提案する。想定するアウトカムまで介入を継続するため、数か月にわたり介入するケースも少なくない。介入中は適宜FOIS、ODAによりモニタリングし、PEM予防・改善に十分留意している。ポジショニング、自食機能などの課題に際しては、適宜リハビリテーション科との連携を図る。口腔衛生管理は歯科衛生士退職後、他職種により励行している。義歯などの口腔問題は必要により歯科介入している。
 退院支援を前提とし、該当者の退院先は介護老人保健施設、介護老人福祉施設、在宅及び療養病床が主なものである。入院前の生活環境に戻るケースは幸いだが、安定した経口摂取が大きなカギとなる。嚥下回診介入するも、やむなく経口摂取困難と判断された場合、代替栄養により療養病床あるいは看取りと判断する場合も少なくない。
 H病院での嚥下回診は、摂食嚥下リハビリテーション臨床研修の場として、地元歯科医師会、卒後研修などでも活用されている。
【まとめ】
 10年以上継続中の嚥下回診は、一医療機関での退院支援にとどまらず、摂食嚥下リハビリテーション臨床研修の場として地域・社会に貢献している。
(倫理審査対象外)(COI開示:なし)