一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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歯科衛生士部門

2022年6月11日(土) 15:00 〜 16:00 優秀ポスター:歯科衛生士部門 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[優秀P衛生-03] ICTを活用した地域の医療・介護連携における歯科訪問診療の経験

○馬場 めぐみ1、室田 弘二1、橋本 みゆき2、長尾 由美子3、松原 利江子1、類家 春菜1、先川 信3、寺尾 導子2 (1. 医療法人臨生会 名寄歯科医院、2. 医療法人臨生会 吉田歯科分院、3. 医療法人臨生会 吉田病院歯科口腔外科)

【目的】
高齢化が急速に進む中,2015年度から在宅医療介護連携推進事業が地域支援事業に加わり北海道名寄市でも地域包括支援センターが中心となってInformation and Communication Technology(ICT)を活用した医療・介護連携が進められている。今回われわれは,コミュニケーションツールを使用したスムーズな多職種連携の経験を報告する。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。

【症例の概要と処置】
83歳,男性。慢性心不全(慢性心房細動,特発性肥大型心筋症),高血圧症,慢性閉塞性肺疾患で,徐々に内服薬のコントロールが不良となった。2020年5月に名寄市立総合病院循環器内科で,慢性心不全増悪のため入院下での内服調整を行った。退院後は身体機能および認知機能の低下が目立ち,障害高齢者の日常生活自立度はB1,認知症高齢者の日常生活自立度はⅢa,要介護度4であった。
ケアマネジャーが口臭に気が付き,当院へ口腔内精査の依頼があった。2021年2月にケアマネジャー同席のもと,訪問初診時は口腔衛生への関心が低く,口腔清掃状態が悪かったため,歯周病治療と並行して家族を含めた口腔衛生指導を行った。ブラッシングや口腔機能訓練の動画を介護連携ツール「Team」((株)Allm)で発信し,多職種と共有した。舌圧が20.8kPaであったため,zoomで開催されたサービス担当者会議の中で,多職種にもペコぱんだを使用したトレーニングの協力を求めた。地域連携会議では,歯科訪問診療介入のケースとして取り上げられ,担当のケアマネジャーから報告された。

【結果と考察】
多職種の協力もあり,患者と家族はブラッシングや口腔機能訓練を受け入れ,熱心に取り組むようになった。 2021年2月から介護連携ツール「Team」のトライアル運用がスタートし,訪問看護・介護、デイサービスセンターなどの日頃の様子がリアルタイムで情報共有できた。また,口腔衛生管理や口腔機能管理の様子を発信することで,われわれの取り組みを広く周知する機会となった。
基礎疾患を持つ高齢患者の診療において,医療・介護スタッフと連携するためには歯科衛生士も更なる医学的知識が必要であり,ICTを活用した様々なツールに対応したコミュニケーションスキルが重要になると考えられた。
COI開示:なし 倫理審査対象外