一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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一般部門

2022年6月11日(土) 15:00 〜 16:00 優秀ポスター:一般部門 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[優秀P一般-02] 改良された口腔湿潤計の多施設共同研究による検者内信頼性の検討

○高野 智史1、石田 晃裕1、中根 綾子2、戸原 玄2、渡邊 裕3、山崎 裕3、金澤 学4、水口 俊介5、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食・嚥下リハビリテーション学分野、3. 北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野高齢者歯科学教室、4. 東京医科歯科大学大学大学院医歯学総合研究科 医歯理工保健学専攻 口腔デジタルプロセス学分野、5. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)

【目的】
 生体電気インピーダンス法を応用した口腔湿潤計は口腔機能低下症の検査として用いられている。被検者に対する負担が少なく、被検者の全身状態や協力度に依存せず計測が可能であることから,高齢者や障害者の評価にも適している。今回,計測部の小型化,計測時間の短縮,計測時の荷重の軽減などを改良した口腔湿潤計が開発された。そこで,改良型口腔湿潤計による計測の検者内信頼性を多施設共同研究として検討することとした。
【方法】
 北海道大学病院,東京医科歯科大学病院,東京歯科大学水道橋病院を受診し,口腔粘膜湿潤度の計測が可能であった患者127名(男性63名,女性64名,平均年齢76.6±6.7 歳)を対象とした。従来型(口腔水分計ムーカス,ライフ)と改良型(Murata口腔湿潤計ムーカス開発品,村田製作所)による計測は十分な訓練を行った各施設の歯科医師が行った。被験者に対してランダムに被験者番号を振り、偶数は改良型を,奇数は従来型を先に計測した。 計測の間隔は十分な時間をとり,30秒間の閉口後に唾液を嚥下させたのち,それぞれ連続で3回行った。検者内信頼性の検討にはCoefficient of variation(CV)とIntraclass Correlation Coefficient (ICC)を用いた。各被験者の3回の計測値からCVと ICC(1.1)を算出した。
【結果と考察】
 従来型の検者内信頼性については,全施設のCVの平均±標準偏差は0.02±0.02,ICC (1.1)は0.763であった。 施設ごとの結果に大きな違いは認められなかった。改良型の検者内信頼性は、全施設のCVの平均±標準偏差は0.04±0.07,ICC (1.1)は0.872であった。施設ごとの結果に大きな違いは認められなかった。以上の結果より,改良型は,従来型と同等以上の高い検者内信頼性を示したといえる。本研究により,同一検者による改良型口腔湿潤計での繰り返し測定の精度は臨床上問題ない程度であることが明らかとなった。今後は検者間信頼性や従来型と改良型間による口腔機能低下症の検査結果の一致度等を検証していく予定である。
(COI 開示:株式会社村田製作所)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認番号 1015,東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認番号D2020-069,北海道大学生命・医学系研究倫理審査委員会 承認番号 自020-0266)