[優秀P一般-04] COVID-19感染拡大下での介護保険施設入所高齢者に対する口腔健康管理と食形態との関連
【目的】
本研究の目的はCOVID-19感染拡大下における介護保険施設入所要介護高齢者に対する歯科訪問診療および口腔衛生管理と食形態維持との関連を検討することである。
【方法】
2019年度,2020年度の調査に協力した日本の30の介護保険施設に入所中の要介護高齢者を対象とした。2019年度に基礎情報,既往歴,口腔衛生管理加算の算定状況,口腔の状態を調査し,2020年度に1年間の食形態の変化を調査した。常食を摂取していた群のうち,1年間に常食から嚥下調整食に移行した群と常食を維持した群に分けて比較し,食形態の変化(常食から嚥下調整食への移行)と関連する要因を二項ロジスティック回帰分析にて検討した。
【結果と考察】
2回の調査に参加した要介護高齢者は696名(男性121名,女性575名,平均年齢:86.6歳; 82-92歳)で1年間に常食から嚥下調整食に移行した群は98名,常食を維持した群は347名であった。常食から嚥下調整食に移行した群と常食を維持した群との単純比較では,Berthel Index,口腔衛生管理加算実施の有無,機能歯数,無歯顎者の割合に有意差を認めた。二項ロジスティック回帰分析において食形態の変化と有意に関連した因子はBerthel Index(OR=0.97,95%CI:0.95-0.98),摂食嚥下障害スクリーニング評価 (嚥下障害有り) (OR=2.52, 95%CI:1.21-5.25),歯科訪問診療の中断(OR=3.16,95%CI:1.27-7.84),および口腔衛生管理加算未実施(OR=3.30,95%CI:1.70-6.41)であった。本研究結果から,日本の介護保険施設入所者に対する口腔衛生管理は食形態の維持と関連することが明らかになった。また,COVID-19感染拡大下における歯科訪問診療の中断は食形態の維持を困難にした可能性が示された。以上の結果から歯科医師と歯科衛生士による口腔健康管理は介護保険施設入所要介護高齢者の摂食嚥下機能の維持と関連していることが示唆された。
(COI開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号:老年歯科倫理2019-3番)
本研究の目的はCOVID-19感染拡大下における介護保険施設入所要介護高齢者に対する歯科訪問診療および口腔衛生管理と食形態維持との関連を検討することである。
【方法】
2019年度,2020年度の調査に協力した日本の30の介護保険施設に入所中の要介護高齢者を対象とした。2019年度に基礎情報,既往歴,口腔衛生管理加算の算定状況,口腔の状態を調査し,2020年度に1年間の食形態の変化を調査した。常食を摂取していた群のうち,1年間に常食から嚥下調整食に移行した群と常食を維持した群に分けて比較し,食形態の変化(常食から嚥下調整食への移行)と関連する要因を二項ロジスティック回帰分析にて検討した。
【結果と考察】
2回の調査に参加した要介護高齢者は696名(男性121名,女性575名,平均年齢:86.6歳; 82-92歳)で1年間に常食から嚥下調整食に移行した群は98名,常食を維持した群は347名であった。常食から嚥下調整食に移行した群と常食を維持した群との単純比較では,Berthel Index,口腔衛生管理加算実施の有無,機能歯数,無歯顎者の割合に有意差を認めた。二項ロジスティック回帰分析において食形態の変化と有意に関連した因子はBerthel Index(OR=0.97,95%CI:0.95-0.98),摂食嚥下障害スクリーニング評価 (嚥下障害有り) (OR=2.52, 95%CI:1.21-5.25),歯科訪問診療の中断(OR=3.16,95%CI:1.27-7.84),および口腔衛生管理加算未実施(OR=3.30,95%CI:1.70-6.41)であった。本研究結果から,日本の介護保険施設入所者に対する口腔衛生管理は食形態の維持と関連することが明らかになった。また,COVID-19感染拡大下における歯科訪問診療の中断は食形態の維持を困難にした可能性が示された。以上の結果から歯科医師と歯科衛生士による口腔健康管理は介護保険施設入所要介護高齢者の摂食嚥下機能の維持と関連していることが示唆された。
(COI開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号:老年歯科倫理2019-3番)