[LS1] 咀嚼によるメタボ予防とオーラルフレイル・フレイル予防
【松尾 浩一郎先生 略歴】
1999年 東京医科歯科大学歯学部 卒業,同大学院 専攻
2002年 ジョンズホプキンス大学 研究員
2005年 ジョンズホプキンス大学 Assistant Professor
2008年 松本歯科大学 障害者歯科学講座 准教授
2013年 藤田保健衛生大学医学部 歯科 教授
2018年 藤田医科大学医学部 歯科・口腔外科学講座 主任教授
2021年 東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野 教授
【堀 一浩先生 略歴】
1998年3月 大阪大学歯学部 卒業
2002年3月 大阪大学大学院歯学研究科 博士課程修了
2004年4月 大阪大学歯学研究科 助教
2009年8月 新潟大学医歯学総合研究科 准教授
1999年 東京医科歯科大学歯学部 卒業,同大学院 専攻
2002年 ジョンズホプキンス大学 研究員
2005年 ジョンズホプキンス大学 Assistant Professor
2008年 松本歯科大学 障害者歯科学講座 准教授
2013年 藤田保健衛生大学医学部 歯科 教授
2018年 藤田医科大学医学部 歯科・口腔外科学講座 主任教授
2021年 東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野 教授
【堀 一浩先生 略歴】
1998年3月 大阪大学歯学部 卒業
2002年3月 大阪大学大学院歯学研究科 博士課程修了
2004年4月 大阪大学歯学研究科 助教
2009年8月 新潟大学医歯学総合研究科 准教授
【抄録】
“よく噛む”ことは昔から健康の維持・促進のために重要であると言われており,早食いは肥満のリスクとなることがアンケート調査などから明らかにされている.また,口腔機能の低下(口腔機能低下症)は,摂取可能な食物の多様性の低下,食事量の減少により低栄養やフレイル,その先にある要介護状態につながるのではないかと考えられ報告されている.このように,十分に咀嚼することは,食塊形成や栄養摂取に非常に重要である.
しかし,咀嚼機能等の機能面の評価は多数行われているものの,咀嚼回数をはじめとする咀嚼行動について客観的な手法を用いて評価・調査した報告はほとんど見られない.その最も大きな原因は,多数の人数を対象に簡便に食事をモニタするツールがないことであると考えられる.
そこで,シャープ株式会社は,このボトルネックを解決するためのデバイスとして,耳掛け式の咀嚼回数計(bitescan)の開発を進めてきた.本装置は,極めて軽量で目立たないため,ストレスフリーで装着でき,スマートフォンと連動させて日常の咀嚼活動をモニタリングすることができる.また,行動変容を促すアプリケーションを活用できる点で,他の類似品を大きく引き離している.
本セミナーの前半において,咀嚼回数計bitescanの概要やその原理を紹介し,我々が行ってきた咀嚼回数と,メタボリックシンドロームなど全身の健康状態との関係,口腔機能との関連に関する研究結果を説明する.さらに,事前に応募していただいた参加者には本装置を装着して食事をしていただき,そのbitescanを用いた咀嚼行動の測定風景を供覧する.
一方,口腔機能が低下した高齢者は軟らかい食事を好む傾向にあり,その結果栄養障害やフレイル,サルコペニアの一因となる。フレイル予防のためには栄養改善とともに,栄養摂取の入口である口の健康を維持,改善することが重要である。カムカム健康プログラムは,高齢者のフレイル・オーラルフレイル予防を目的として,JST-SICORPのスウェーデンとの共同研究事業で開発されたプログラムである。通いの場で,噛みごたえと栄養に配慮したカムカム弁当を食べながら口の健康と栄養について学ぶ「咀嚼・口の健康・栄養」をコンセプトにした複合プログラムとして開発され,その効果も示されている。社会実装に向けて,2021年度より,4県9市町村(長野県,高知県,愛知県,神奈川県)で高齢者向けのプログラムを実施し,口の健康と食に関する行動変容効果を検証している。本セミナーの後半では,オーラルフレイル対策としての本プログラムの概要と効果についてお話しする。
“よく噛む”ことは昔から健康の維持・促進のために重要であると言われており,早食いは肥満のリスクとなることがアンケート調査などから明らかにされている.また,口腔機能の低下(口腔機能低下症)は,摂取可能な食物の多様性の低下,食事量の減少により低栄養やフレイル,その先にある要介護状態につながるのではないかと考えられ報告されている.このように,十分に咀嚼することは,食塊形成や栄養摂取に非常に重要である.
しかし,咀嚼機能等の機能面の評価は多数行われているものの,咀嚼回数をはじめとする咀嚼行動について客観的な手法を用いて評価・調査した報告はほとんど見られない.その最も大きな原因は,多数の人数を対象に簡便に食事をモニタするツールがないことであると考えられる.
そこで,シャープ株式会社は,このボトルネックを解決するためのデバイスとして,耳掛け式の咀嚼回数計(bitescan)の開発を進めてきた.本装置は,極めて軽量で目立たないため,ストレスフリーで装着でき,スマートフォンと連動させて日常の咀嚼活動をモニタリングすることができる.また,行動変容を促すアプリケーションを活用できる点で,他の類似品を大きく引き離している.
本セミナーの前半において,咀嚼回数計bitescanの概要やその原理を紹介し,我々が行ってきた咀嚼回数と,メタボリックシンドロームなど全身の健康状態との関係,口腔機能との関連に関する研究結果を説明する.さらに,事前に応募していただいた参加者には本装置を装着して食事をしていただき,そのbitescanを用いた咀嚼行動の測定風景を供覧する.
一方,口腔機能が低下した高齢者は軟らかい食事を好む傾向にあり,その結果栄養障害やフレイル,サルコペニアの一因となる。フレイル予防のためには栄養改善とともに,栄養摂取の入口である口の健康を維持,改善することが重要である。カムカム健康プログラムは,高齢者のフレイル・オーラルフレイル予防を目的として,JST-SICORPのスウェーデンとの共同研究事業で開発されたプログラムである。通いの場で,噛みごたえと栄養に配慮したカムカム弁当を食べながら口の健康と栄養について学ぶ「咀嚼・口の健康・栄養」をコンセプトにした複合プログラムとして開発され,その効果も示されている。社会実装に向けて,2021年度より,4県9市町村(長野県,高知県,愛知県,神奈川県)で高齢者向けのプログラムを実施し,口の健康と食に関する行動変容効果を検証している。本セミナーの後半では,オーラルフレイル対策としての本プログラムの概要と効果についてお話しする。