The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

一般演題(口演発表) » [一般口演1] 実態調査

一般口演1 実態調査

Sat. Jun 11, 2022 8:50 AM - 9:50 AM 第3会場 (りゅーとぴあ 2F スタジオA)

座長:會田 英紀(北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系高齢者・有病者歯科学分野)

[O1-01] 回復期リハビリテーション病院入院患者の口腔健康管理ニーズと生活機能との関連

○原 隆蔵1、古屋 純一1、佐藤 裕二1、桑澤 実希1、畑中 幸子1、向井 友子1、戸田山 直輝1、赤穂 和樹1、川手 信行2、弘中 祥司3 (1. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座、2. 昭和大学医学部リハビリテーション医学講座、3. 昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)

【目的】
回復期リハビリテーション病院入院患者は,生活機能が低下した高齢者が多く,口腔機能も低下している場合が多いと推察される.病態の安定した回復期は急性期と異なり集中的な歯科治療を行う好機とも考えられるが,回復期病院入院患者の口腔健康管理ニーズの実態や,口腔機能と生活機能との関連についても不明な点が多い.そこで本研究では,回復期リハビリテーション病院入院患者における口腔健康管理ニーズの実態を調査し,生活機能である入院時の自立度と口腔機能との関連を明らかにすることを目的とした.
【方法】
対象者は2019年1月から2020年12月に某回復期病院入院中に,医師からの依頼があり訪問診療を行った患者147名とした.診療録より年齢,性別,原疾患,機能的自立度評価法(FIM),栄養状態,摂食状況,口腔状態として現在歯数,機能歯数,Eichner分類,医科からの依頼内容等を抽出した.有意水準は5%とした.
【結果と考察】
対象者147名(男性94名,女性53名)の平均年齢は74.6±13.1歳で,7割以上が65歳以上の高齢者であった.原疾患は約5割が脳血管疾患であり,医科からの依頼内容は嚥下造影検査前口腔内診査が約5割,次いで義歯治療, 口腔衛生管理であった.平均現在歯数は16.6±10.2本,平均機能歯数は20.8±9.6本であり,義歯が必要な歯列欠損を認めた.また,Eichner分類で義歯が必要と考えられるB4以上の割合は約4割であったが,うち7割が不適合や不所有により使用していなかった.平均FIM合計点数は53.0±26.0点であり,約7割が何らかの経口摂取を行っていたが,約8割に栄養障害を認めた.脳卒中の有無では,年齢,FIM合計点数・認知,栄養状態に差を認めたが,口腔に関しては有意な差は認めなかった.FIM合計点数を目的変数とした重回帰分析では,年齢,ESS, 栄養状態,機能歯数に有意な正の相関を認めたことから,回復期入院時の自立度に口腔の要因や経口摂取が関連することが明らかとなった.以上より,回復期リハビリテーション病院入院患者においては,栄養や食形態の改善に重要な口腔機能に問題がある場合が多いと考えられ,適切な医科歯科連携によって口腔健康管理を行うことで,生活機能の向上を支援できる可能性が示唆された.
(COI開示:なし)
(昭和大学倫理委員会 承認番号 F2020C158)