[O1-02] 昭和大学病院 歯科・歯科口腔外科における周術期等口腔機能管理の現状と課題
【目的】
昭和大学病院 歯科・歯科口腔外科は 昭和大学口腔ケアセンターと協力し,2018年1月に周術期管理システムとして発足した麻酔科術前外来と診療科から依頼された入院患者の周術期等口腔機能管理を実施している。今回, 周術期等口腔機能管理の現状と課題を検討したので報告する。
【方法】
2020年4月から2021年3月までの間に昭和大学病院・附属東病院の麻酔科術前外来と診療科から周術期等口腔機能管理の依頼があった1039名を対象とし診療録と周術期等口腔機能管理計画書を用い後方視的に調査した。
【結果と考察】
周術期等口腔機能管理実施数の内訳は,全身麻酔手術患者979例(総全身麻酔件数の21.6%),化学療法・放射線療法患者291例であった。歯科衛生士による周術期等専門的口腔衛生処置実施総数は2,231例,術前患者966例, 術後患者697例,化学療法患者558件であった。診療科別依頼患者数は,呼吸器外科,食道外科,整形外科,消化器・一般外科,腎移植センターからの依頼が増加した。COVID-19の影響で手術件数が減少した5月は当科の介入も減少した。動揺歯および口腔感染源除去目的の抜歯は69例,義歯調整・修理は182例であった。口腔内装置の作成理由と症例数は,口腔粘膜炎予防3例,終末期の咬傷・動揺歯管理1例,気管内挿管時の動揺歯固定229例であった。229例のうち65歳から75歳未満,75歳以上が占める割合は33.2%,43.2%, 1年以内にかかりつけ歯科での診療歴を有する患者は59.0%であった。術中・術後の有害事象は0例であった。周術期等口腔機能管理の主な問題点は,①入院時に重度の歯周疾患,咀嚼障害を有する患者が多い,②依頼の時期によっては,計画的な周術期等口腔機能管理が困難,③確立した治療法のない口腔粘膜炎への対応の3点であった。今後の課題は,患者・多職種・地域の歯科医師への周術期等口腔機能管理の目的の周知,入院前・退院後に地域包括ケアシステムにつなげるための地域医療機関や多職種との連携強化および周術期等口腔機能管理の定量的有効性の検証である。
(COI開示:なし)
(昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会 承認番号 2638)
昭和大学病院 歯科・歯科口腔外科は 昭和大学口腔ケアセンターと協力し,2018年1月に周術期管理システムとして発足した麻酔科術前外来と診療科から依頼された入院患者の周術期等口腔機能管理を実施している。今回, 周術期等口腔機能管理の現状と課題を検討したので報告する。
【方法】
2020年4月から2021年3月までの間に昭和大学病院・附属東病院の麻酔科術前外来と診療科から周術期等口腔機能管理の依頼があった1039名を対象とし診療録と周術期等口腔機能管理計画書を用い後方視的に調査した。
【結果と考察】
周術期等口腔機能管理実施数の内訳は,全身麻酔手術患者979例(総全身麻酔件数の21.6%),化学療法・放射線療法患者291例であった。歯科衛生士による周術期等専門的口腔衛生処置実施総数は2,231例,術前患者966例, 術後患者697例,化学療法患者558件であった。診療科別依頼患者数は,呼吸器外科,食道外科,整形外科,消化器・一般外科,腎移植センターからの依頼が増加した。COVID-19の影響で手術件数が減少した5月は当科の介入も減少した。動揺歯および口腔感染源除去目的の抜歯は69例,義歯調整・修理は182例であった。口腔内装置の作成理由と症例数は,口腔粘膜炎予防3例,終末期の咬傷・動揺歯管理1例,気管内挿管時の動揺歯固定229例であった。229例のうち65歳から75歳未満,75歳以上が占める割合は33.2%,43.2%, 1年以内にかかりつけ歯科での診療歴を有する患者は59.0%であった。術中・術後の有害事象は0例であった。周術期等口腔機能管理の主な問題点は,①入院時に重度の歯周疾患,咀嚼障害を有する患者が多い,②依頼の時期によっては,計画的な周術期等口腔機能管理が困難,③確立した治療法のない口腔粘膜炎への対応の3点であった。今後の課題は,患者・多職種・地域の歯科医師への周術期等口腔機能管理の目的の周知,入院前・退院後に地域包括ケアシステムにつなげるための地域医療機関や多職種との連携強化および周術期等口腔機能管理の定量的有効性の検証である。
(COI開示:なし)
(昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会 承認番号 2638)