一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演1 実態調査

2022年6月11日(土) 08:50 〜 09:50 第3会場 (りゅーとぴあ 2F スタジオA)

座長:會田 英紀(北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系高齢者・有病者歯科学分野)

[O1-06] 歯科用局所麻酔薬の効果,使い分け,偶発症に関してのアンケート調査

○北川 栄二 (JR札幌病院歯科口腔外科)

【目的】
歯科用局所麻酔薬の使用状況や効果に対する評価,使い分け,偶発症の経験率を調査する目的でアンケート調査を行ったので,その結果を報告する。
【方法】
対象は,調査の趣旨に賛同し回答した歯科医師83人とした。 調査項目は,歯科用局所麻酔薬の保有状況,各薬剤の使用頻度の比率,実際の使用経験に基づいた鎮痛効力,鎮痛効力持続時間,止血効果の比較,使い分け,局所麻酔を契機とした偶発症の経験の有無とした。なお,アンケートの回答は自由意志,無記名回答とした.偶発症の経験については,経験の有無のみ回答していただき,患者情報などは記載しないこととした.なお,アドレナリン含有2%リドカイン塩酸塩はAdLi,フェリプレシン含有3%プロピトカイン塩酸塩はFePr,3%メピバカイン塩酸塩はMeと略した。
【結果と考察】
保有率:AdLiは100%,FePrは85.5%,Meは37.3%であった。
使用頻度の比率:AdLiが90.5%,FePrが6.9%,Meが2.6%であった。
鎮痛効力の評価:AdLiの鎮痛効力を100として, FePrは73.6,Meは70.9であった。
鎮痛効力持続時間の評価:AdLiの鎮痛効力持続時間を100として,FePrは69.6,Meは55.4であった。
止血効果の評価(平均値):AdLiの止血効果を100として,FePrは57.3,Meは38.8であった。
偶発症の経験率:血管迷走神経反射61.5%,頻脈・動悸73.5%,血圧上昇56.6%,顔面蒼白47.0%,血圧低下37.4%,徐脈21.7%,不整脈18.1%,狭心症・心筋梗塞4.8%,過換気症候群38.6%,痙攣・手足痺れ・硬直20.5%,意識低下・消失13.3%,眠気9.6%,アレルギー9.6%などであった。
FePr,Meは保有率に比較すると実際の使用頻度は低く,主に鎮痛効力,鎮痛効力持続時間,止血効果がAdLiより低いことが要因と思われた。また,局所麻酔に関わる偶発症はこれまでの報告よりも実際には高い頻度で経験されていると思われた。特に、血管迷走神経反射、頻脈・動悸、血圧上昇などは半数以上の方が経験しており、モニター監視や偶発症発症時の対応の必要性を再認識した。
(COIなし)(倫理審査対象外)