[O3-04] ネオナイシン-e配合口腔用ジェルによる口腔衛生管理で口腔カンジダ症が改善した筋萎縮性側索硬化症の一例
【目的】
要介護者は上肢の麻痺などで十分な口腔衛生管理が行えなく,口腔内の環境が悪化し口腔カンジダ症に罹患する患者が多く存在する。口腔カンジダ症は,繰り返し発症することがある。「ネオナイシン-e」はう蝕および,歯周病関連菌,真菌に対し抑制効果があるとされている。今回,口腔衛生状態が不良な筋萎縮性側索硬化症 (以下ALS) 患者に対し,ネオナイシン-e配合口腔用ジェル(以下,Ne配合ジェル)を使用した口腔衛生管理を行い抗真菌薬の投与を軽減できたと思われる症例を報告する。
【症例の概要と経過】
ALSによる嚥下障害があり,当院嚥下外来を受診した64歳男性。初診時,口腔衛生管理が不十分で口腔粘膜全体に口腔カンジダ症による小班点状の白色偽膜を認め,抗真菌薬6日分の処方と歯科衛生士による口腔衛生指導を実施した。ステロイドや抗菌薬の投与はなく,口腔乾燥も認めなかったため,口腔カンジダ症となった原因は清掃状態不良によるものだと思われた。初診から7日目の受診で偽膜形成は消失しており,口腔カンジダ症は改善しNe配合ジェルを使用した口腔衛生管理方法を指導した。その後28日目の受診で口腔カンジダ症の再発は認めなかった。 42日目の受診で左頬粘膜にワイヤークラスプによる潰瘍形成を認め清掃状態は不良であった。潰瘍による疼痛から清掃状態は不良で,オーラルピースも使用しておらず,再度白色偽膜を認めたため同日抗真菌薬が6日分処方された。63日目の受診時に,白色偽膜を認めたが軽度であったため,清掃指導およびNe配合ジェルを使用した清掃を継続するよう指導した。その後106日目の受診まで口腔カンジダ症の発症は認めず経過する事ができた。
なお,本報告の発表について患者本人(もしくは代諾者)から文書による同意を得ている。
【考察と結論】
Ne配合ジェルを使用した口腔衛生管理を行っていた期間,口腔カンジダ症の再発を抑制でき,結果抗真菌薬の投与を減らすことができた可能性がある。口腔衛生状態の改善とNe配合ジェルの使用のいずれが口腔カンジダ症の抑制に効果的であったかは今後の検討が必要だが,口腔カンジダ症の発症を繰り返す患者に対し,Ne配合ジェルを使用した口腔衛生管理を指導することで口腔カンジダ症の再発の予防や抗真菌薬の投与回数を減らすことが期待できる可能性がある。(COI開示:なし 倫理審査対象外)
要介護者は上肢の麻痺などで十分な口腔衛生管理が行えなく,口腔内の環境が悪化し口腔カンジダ症に罹患する患者が多く存在する。口腔カンジダ症は,繰り返し発症することがある。「ネオナイシン-e」はう蝕および,歯周病関連菌,真菌に対し抑制効果があるとされている。今回,口腔衛生状態が不良な筋萎縮性側索硬化症 (以下ALS) 患者に対し,ネオナイシン-e配合口腔用ジェル(以下,Ne配合ジェル)を使用した口腔衛生管理を行い抗真菌薬の投与を軽減できたと思われる症例を報告する。
【症例の概要と経過】
ALSによる嚥下障害があり,当院嚥下外来を受診した64歳男性。初診時,口腔衛生管理が不十分で口腔粘膜全体に口腔カンジダ症による小班点状の白色偽膜を認め,抗真菌薬6日分の処方と歯科衛生士による口腔衛生指導を実施した。ステロイドや抗菌薬の投与はなく,口腔乾燥も認めなかったため,口腔カンジダ症となった原因は清掃状態不良によるものだと思われた。初診から7日目の受診で偽膜形成は消失しており,口腔カンジダ症は改善しNe配合ジェルを使用した口腔衛生管理方法を指導した。その後28日目の受診で口腔カンジダ症の再発は認めなかった。 42日目の受診で左頬粘膜にワイヤークラスプによる潰瘍形成を認め清掃状態は不良であった。潰瘍による疼痛から清掃状態は不良で,オーラルピースも使用しておらず,再度白色偽膜を認めたため同日抗真菌薬が6日分処方された。63日目の受診時に,白色偽膜を認めたが軽度であったため,清掃指導およびNe配合ジェルを使用した清掃を継続するよう指導した。その後106日目の受診まで口腔カンジダ症の発症は認めず経過する事ができた。
なお,本報告の発表について患者本人(もしくは代諾者)から文書による同意を得ている。
【考察と結論】
Ne配合ジェルを使用した口腔衛生管理を行っていた期間,口腔カンジダ症の再発を抑制でき,結果抗真菌薬の投与を減らすことができた可能性がある。口腔衛生状態の改善とNe配合ジェルの使用のいずれが口腔カンジダ症の抑制に効果的であったかは今後の検討が必要だが,口腔カンジダ症の発症を繰り返す患者に対し,Ne配合ジェルを使用した口腔衛生管理を指導することで口腔カンジダ症の再発の予防や抗真菌薬の投与回数を減らすことが期待できる可能性がある。(COI開示:なし 倫理審査対象外)