The 33rd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演発表)

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一般口演3 症例・施設

Sat. Jun 11, 2022 11:10 AM - 12:10 PM 第3会場 (りゅーとぴあ 2F スタジオA)

座長:中島 純子(東京歯科大学 オーラルメディシン・病院歯科学講座)

[O3-06] 超音波診断装置を用いた舌癌頸部郭清術後患者の嚥下関連筋の筋量の評価の経時的変化

○貴島 真佐子1,2,4、今井 美季子2、柏木 宏介3、糸田 昌隆2,4 (1. 社会医療法人 若弘会 わかくさ竜間リハビリテーション病院、2. 大阪歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科、3. 大阪歯科大学 有歯補綴咬合学講座、4. 大阪歯科大学医療保健学部 口腔保健学科)

【目的】
 頭頸部癌のリンパ節転移に対する治療として,一般的に頸部郭清術が施行されており,術後の器質的,機能的障害がみられることが多い.今回,舌癌で頸部郭清術を施行した一症例に対し,超音波診断装置にて嚥下関連筋の筋量の経時的変化について観察したので報告する.
【症例の概要と処置】
 70歳,女性.2020年11月,舌扁平上皮癌(T2N2bM0:Stage Ⅲ)診断のもと,術前導入化学療法後に舌部分切除術,根治的頸部郭清術を本学附属病院口腔外科にて施行し,口腔機能回復を目的に口腔リハビリテーショ ン(口腔リハ)科に依頼があった.腫瘍切除前切除後より1ヶ月毎にオトガイ舌骨筋,顎二腹筋の面積を超音波診断装置SONIMAGE MX1(コニカミノルタジャパン株式会社製)にて測定した.口腔機能評価は,舌圧,咀嚼力等の評価を行った.栄養評価はMUST,体成分分析装置Inbodyを用いて,術前から術後1年間の経過について検討を行った.なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている.
【結果と考察】
 術前舌圧30.8kPa,咀嚼力89mg/dl,MASA-Cは197点,術後舌圧14.5kPa,咀嚼力112mg/dl,MASA-Cは144点であった.術後6ヶ月目,舌圧27.2kPa,咀嚼力185mg/dl,MASA-Cは179点,術後1年,舌圧30.4kPa, 咀嚼力213mg/dl, MASA-Cは187点であった.口腔リハ実施内容は術後から6ヶ月間においては舌の運動範囲改善を目的とした訓練と筋力向上訓練,咀嚼訓練を行い,合わせて頸部郭清術後の頸部および上肢運動の拘縮予防を目的に運動可動域改善訓練を行った. 術後6ヶ月以降は口腔管理,口腔および頸部,上肢の機能維持を目的として実施している.オトガイ舌骨筋の面積は,術後で増加し,6ヶ月かけて術前の面積に戻った.直接オペをした右側顎二腹筋は,術後で減少したが,3ヶ月目で増加,それ以降は術前の面積に回復した.左側顎二腹筋は,術後にかけて面積が増加した.現在再発はみられていない.
 オトガイ舌骨筋は,術後はオペ侵襲による炎症,浮腫により面積が増加した可能性があった.一方,日常生活と口腔リハ実施により顎二腹筋はオペを受けた側を代償した運動によって面積が増加したと考えられた.
(COI開示:なし)(大阪歯科大学医の倫理委員会 第111067号)