[O4-01] 摂食機能障害患者への急性期病院から在宅診療へのシームレスな介入へ向けて
【目的】
厚生労働省が将来に向けた医療介護システムとして,病院と在宅診療を繋ぐ,医科歯科連携を推進しているのは周知の事実である。その際,医療者間で情報共有することは必須であるが,本県においてその連携が十分に取れている地域は数少なく,病院での摂食嚥下機能評価・介入の経過が把握できないことや,紹介内容と患者や家族の要望が異なるなどの問題が生じている。今回,2021年4月から2022年1月の間に急性期病院と在宅歯科診療の連携として,病院の歯科医師が在宅診療にも帯同した3症例の経過を報告する。なお、発表に際し本人および家族より同意を得ている。(倫理審査対象外)
【症例の概要と処置】
対象となったのは急性期病院から在宅歯科診療も行っている地域中核病院へ紹介した3例であり,原因疾患は全て脳血管疾患であった。急性期病院担当の歯科医師が2回以上訪問歯科診療に帯同し,歯科医師,歯科衛生士への情報共有と在宅での環境に合わせたリハプランの提案を行った。その後,1~3ヶ月後に再評価のため訪問診療もしくは外来にて介入した。
症例①:小脳・脳幹梗塞後,入院時に重度嚥下障害と診断され長期的な訓練を行い,経管栄養から嚥下調整食を3食摂取可能となり退院した。退院後の介入によって誤嚥性肺炎発症なくFOIS:4→7,MNA:17→21と改善した。
症例②:被殻出血後,食欲低下もあり入院時の摂取量は少量であったが,退院後に食事指導をすることで摂取量が徐々に増加し,FOIS:5→7,MNA:16→20と改善した。
症例③:脳幹梗塞後,重度嚥下障害と診断され長期的な訓練が必要であった。慢性的な唾液誤嚥を繰り返していたが,FOIS:5となり退院した。退院後の訓練によってFOIS:6と改善した。
【結果と考察】
今回の症例では,病院から在宅へ十分な情報共有や引継ぎを行うことで良好な帰結を得ることができた。退院後にその介入が途絶えてしまい,機能低下や機能的には食べられるが経口摂取中止となってしまう患者は少なくない。今後は,今回の経験を基にした情報共有ツールの作成,オンラインを活用した診療やカンファレンス・会議への出席を推進していく予定である。
(COI開示:なし)
厚生労働省が将来に向けた医療介護システムとして,病院と在宅診療を繋ぐ,医科歯科連携を推進しているのは周知の事実である。その際,医療者間で情報共有することは必須であるが,本県においてその連携が十分に取れている地域は数少なく,病院での摂食嚥下機能評価・介入の経過が把握できないことや,紹介内容と患者や家族の要望が異なるなどの問題が生じている。今回,2021年4月から2022年1月の間に急性期病院と在宅歯科診療の連携として,病院の歯科医師が在宅診療にも帯同した3症例の経過を報告する。なお、発表に際し本人および家族より同意を得ている。(倫理審査対象外)
【症例の概要と処置】
対象となったのは急性期病院から在宅歯科診療も行っている地域中核病院へ紹介した3例であり,原因疾患は全て脳血管疾患であった。急性期病院担当の歯科医師が2回以上訪問歯科診療に帯同し,歯科医師,歯科衛生士への情報共有と在宅での環境に合わせたリハプランの提案を行った。その後,1~3ヶ月後に再評価のため訪問診療もしくは外来にて介入した。
症例①:小脳・脳幹梗塞後,入院時に重度嚥下障害と診断され長期的な訓練を行い,経管栄養から嚥下調整食を3食摂取可能となり退院した。退院後の介入によって誤嚥性肺炎発症なくFOIS:4→7,MNA:17→21と改善した。
症例②:被殻出血後,食欲低下もあり入院時の摂取量は少量であったが,退院後に食事指導をすることで摂取量が徐々に増加し,FOIS:5→7,MNA:16→20と改善した。
症例③:脳幹梗塞後,重度嚥下障害と診断され長期的な訓練が必要であった。慢性的な唾液誤嚥を繰り返していたが,FOIS:5となり退院した。退院後の訓練によってFOIS:6と改善した。
【結果と考察】
今回の症例では,病院から在宅へ十分な情報共有や引継ぎを行うことで良好な帰結を得ることができた。退院後にその介入が途絶えてしまい,機能低下や機能的には食べられるが経口摂取中止となってしまう患者は少なくない。今後は,今回の経験を基にした情報共有ツールの作成,オンラインを活用した診療やカンファレンス・会議への出席を推進していく予定である。
(COI開示:なし)