[O5-04] 頸部へのキネシオテーピングが嚥下運動における筋活動に及ぼす影響
【目的】
マンパワーが不足している医療・介護現場では,摂食嚥下障害への対応として,簡便で効果的な訓練法が必要とされている。嚥下関連筋群の筋力低下によって生じる喉頭挙上量の減少に対しては,仰臥位にて頭部の挙上を保持し,喉頭挙上に関わる筋の筋力向上を目的とする,頭部挙上訓練(シャキア訓練)が行われている。本研究の目的は,理学療法などで用いられるキネシオテープの貼付(以下,キネシオテーピング)が,嚥下時における嚥下関連筋群の筋活動に及ぼす影響を検討することとした。
【方法】
対象は,摂食嚥下機能の低下を認めない健常若年者5名(男性2名,女性3名,平均年齢26.6±2.1歳)とした。顎下部に多チャンネル電極を装着し,以下の条件にて水3cc嚥下時の舌骨上筋群および舌骨下筋群における筋活動を計測した。
条件1:甲状軟骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング
条件2:舌骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング
条件3:キネシオテーピングなし
MATLAB®にて舌骨上筋群,舌骨下筋群それぞれのsEMG信号をRMS値に変換し,チャンネルごとに時間積分を行った。その後,全チャンネルの平均積分値を算出した。
【結果と考察】
舌骨上筋群,舌骨下筋群の筋活動から算出した平均積分値は,5名中4名で,条件3(キネシオテーピングなし)に比べて条件1(甲状軟骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング)および条件2(舌骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング)において高値を示した。5名の平均増加率は,条件3に比べ,条件1で約13.3%,条件2で約4.8%であった。
これよりキネシオテーピングにより,水嚥下において舌骨上筋群,舌骨下筋群の筋活動量は増加する可能性が示唆された。今後は対象者数を増やすと共に,頭部挙上訓練を含めた他の嚥下訓練との比較を行い,安全性や再現性を含め訓練としての精度を検討していく。
(COI開示:なし)
(長崎大学病院倫理審査委員会承認番号 21041915)
マンパワーが不足している医療・介護現場では,摂食嚥下障害への対応として,簡便で効果的な訓練法が必要とされている。嚥下関連筋群の筋力低下によって生じる喉頭挙上量の減少に対しては,仰臥位にて頭部の挙上を保持し,喉頭挙上に関わる筋の筋力向上を目的とする,頭部挙上訓練(シャキア訓練)が行われている。本研究の目的は,理学療法などで用いられるキネシオテープの貼付(以下,キネシオテーピング)が,嚥下時における嚥下関連筋群の筋活動に及ぼす影響を検討することとした。
【方法】
対象は,摂食嚥下機能の低下を認めない健常若年者5名(男性2名,女性3名,平均年齢26.6±2.1歳)とした。顎下部に多チャンネル電極を装着し,以下の条件にて水3cc嚥下時の舌骨上筋群および舌骨下筋群における筋活動を計測した。
条件1:甲状軟骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング
条件2:舌骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング
条件3:キネシオテーピングなし
MATLAB®にて舌骨上筋群,舌骨下筋群それぞれのsEMG信号をRMS値に変換し,チャンネルごとに時間積分を行った。その後,全チャンネルの平均積分値を算出した。
【結果と考察】
舌骨上筋群,舌骨下筋群の筋活動から算出した平均積分値は,5名中4名で,条件3(キネシオテーピングなし)に比べて条件1(甲状軟骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング)および条件2(舌骨相当部からオトガイまでのキネシオテーピング)において高値を示した。5名の平均増加率は,条件3に比べ,条件1で約13.3%,条件2で約4.8%であった。
これよりキネシオテーピングにより,水嚥下において舌骨上筋群,舌骨下筋群の筋活動量は増加する可能性が示唆された。今後は対象者数を増やすと共に,頭部挙上訓練を含めた他の嚥下訓練との比較を行い,安全性や再現性を含め訓練としての精度を検討していく。
(COI開示:なし)
(長崎大学病院倫理審査委員会承認番号 21041915)